1960-1970 Vintage ALTERATION GIEVES Limited Tailor-Made
Cashmere/Wool British Over Coat
スリークォーターレングスのカシミア／ウールのコート。
高級、上質、フォーマルといった大人なワードがぴったりのコートですが、
完成されたスタイルがある故に、着崩す懐の深さの楽しい1着です。
1785年にGieve Matthews Seagrove Ltd.として設立された Gieve’s Ltd.は
英国海軍のテーラーとして、第1次世界大戦時にはライフセービングベストを
開発し特許を取得した老舗テーラーです。
1975年に同じく英国陸軍の仕立て屋だったHawkesと合併し、
Gieves&Hawkesとなった後は、英国上流階級の仕立て服に加えて、
英国の海軍・空軍・陸軍のユニフォームやパブリックスクールの制服の製作を行い
英国上流社会に溶け込み、英国人に最も愛されるブランドとしての地位を築きあげました。
このコートは合併前のGieve’s Ltd.時代の物で、この頃の本店はロンドンの
オールドボンドストリートにありましたが、ポーツマスやサウザンプトン、エディンバラ
などイギリス国内9店舗の他、マルタ島やジブラルタルなど合計11の支店を持ち、
このコートはその中のリバプールで仕立てられた物との事です。
Gieve’s Ltd.時代の支店がいずれも英国海軍と関連する主要な港街にあったというのは
当然でありながらもルーツを示す面白い一面が伝わります。
1711年設立のHawkesと合併してGieves&Hawkesとなった後は
世界のメンズウェアの聖地聖地ロンドンの「サヴィル・ロウ」のサヴィルロー1番地に移り、
英国王室をはじめ、チャールズ・チャップリン、JPモルガン、ウィンストン・チャーチルなど
世界中のエグゼクティブに愛されるNo.1テーラーとして君臨し続けています。
英国紳士のダンディズムの結晶のようなオーセンティックかつ
クラシカルでありながら現代にしっかり馴染むフォルムのコートです。
生地はイタリア、フィレンツェからほど近いPratoにある
Lanificio Fratelli社のもの。
生地の上品で控えめな光沢を持つ深いネイビーの色合いは、
糸と生地の上質さをうかがわせてくれます。
カシミアを主体に紡績された紡毛糸で織られた生地は
軽く柔らかでありながら、深く起毛されたボリュームがあり、
とても暖かな手触りです。
キュプラの裏地を取り除き、ナチュラルで乾いた風合いが魅力の
ラスティックコットンで再作成。
全体にさらに張り感やボリューム感を与えるとともに、
表地とのコントラストの面白さと、Vintegeにつきまとう不潔感を解消し、
清潔で明るくモダンな表情が加わりました。
リネンのトリミングとハンドステッチが効いたソフトなフォルムで
端部を浮かせたすくい縫いで膨らみと丸みが加わった内ポケット。
高級感や上質さで魅せるコンサバティブなルックスと対照的な
手仕事の不揃いさや乱れが趣を加える、ブランケットステッチでの裏地のライニング。
そのステッチにあえて選んだのはフラックスに近いラスティックな風合いの
ハードマン社製のリネンヤーンです。
ハードマン社は、1835年創業の伝統ある紡績メーカーで、
アイリッシュリネンの最高峰と言われるリネン糸を作り続けていた会社です。
今はもうアイルランドで栽培された本当のアイリッシュリネンは手に入りませんし、
会社も新たなリネン生産の拠点を求めて南アフリカへ移転してしまいましたが、
この糸はそのハードマン社がまだアイルランドにあった頃のものです。
ただ紡績はこのようにアイルランドで行われましたが、
原料のフラックスはベルギーのもの。
今も高級リネンの代名詞として人気のあるアイリッシュリネンは
ただのブランドで、アイルランドで織られることも紡績されることも
麻の栽培も行われてはいません。
同じリネンヤーンでライニングの背中心や脇に入れた
ハンドステッチはライナーにも表情与え、言葉のいらないニュアンスを醸し出します。
大ぶりなホーンボタンは、このコートのオリジナルの物。
アンティーク布のくるみボタンのちからボタンと
ヴィンテージのリネンコードで留め付けています。
ハードマン社製のリネンヤーンであえて少しラフにかがり直した
ボタンホールも趣を加えるアクセント。
年月を経ても輝きの鈍ることなく、魅力的で独特な表情を見せるこのコートの
パッドの入った肩や太い袖を調整し、クラシックながらも現代的な
フォルムの1着に
洗い加工によって不規則に発生するシュリンクが作る、
デザインやパターンでは生み出せない計算された計算外の味わいが、
上品かつコンサバなコートに新たな表情を加えました。
ポケットや襟の周りを引き締め、動きを加えるのはリネンのハンドステッチです。
柔らかくボリューミーな生地の裾を軽く見せ、動きを感じさせる
深いスリットをさらに彩る、裏地のコントラストとハンドステッチ。
230年を超える歴史に基づき、永年に渡り王室や政治家、俳優、
テーラー達から寵愛を受けるテーラーの仕立てたコート。
数多のコートの中でも他を大きく引き離す堂々とした佇まいと、現代性の融合した
ただの古着であることをやめた「古くて新しく、新しいけど古い」1着です。
サイズ 2（M相当 ）
肩幅 ＝43cm
バスト＝57cm(脇下)
袖丈 ＝64 cm
着丈 ＝87cm
イギリス／日本製
表地 CASHMERE and WOOL “LANIFICIO FRATELLI” カシミア／ウール
ライナー ラスティックコットン コットン100%
ボタン バッファローホーンボタン（オリジナル）
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1960-1970 Vintage ALTERATION GIEVES Limited Tailor-Made
Cashmere/Wool British Over Coat
[ALTERATION By Manure of Drawers] SOLD
