1920-1930 Vintage ALTERATION Salt&Pepper French Work Jacket
フランスのワークウェアは、テーラーワークを基本としたパターンメイクと
縫製を基本とし、「 ファッション 」と対極の位置にあるはずの「労働着」
が、様々なメゾンやデザイナーのお手本となり続ける、単なる労働着を超え
た存在です。
1920-1930年代のフランスのワークジャケットをAlterationした1着です。
経てきた時間を映す水墨画のような陰影と、ふくよかな皺を纏う1着です。
この積み重ねられた風合いは、新たに作られた服には逆立ちしても手に入れられないものです。
VINTAGEの魅力と風合いが今と結びついたハイブリッドは
セピア色の写真の世界を懐かしむ服とは一線を画しています。
しっかりと着込まれて、薄いグレーに進化したごま塩が、珍しくも美しいジャケットです。
通常ソルト&ペッペーの生地は縦糸はオフホワイトとグレーのまだらのメランジ糸で、緯糸はグレーなどの単色の糸で織られた生地で、新品の時はチャコールグレーで、
洗いこんでいく事で薄いグレーへと変化してゆくものがほとんどです。
また、綾織のものが殆どなのですが、このジャケットに使われているは平織り(縦糸と緯糸が1:1で交差する)で、さらにもともと緯糸がオフホワイトといった、珍しい生地のものです。
フランスがかつての宗主国だったベトナムで見つけられ、VINTAGEハンターによって母国へ戻ったこのジャケット。
入手時は全体が泥と錆にまみれた黄土色の塊で、生地の脆化も不安な外観が幾度もの洗浄の後に、これほど綺麗なグレーで、シミもそれほど目立たないものになったのは、このジャケットの100年近い年月を考えると、奇跡的なことなのかもしれません。
錆の最大の元凶は左ポケットにあった何か(物は見当たらず)のようで、その何かの錆の影響で左ポケットとその身生地部分だけは洗浄中に溶けてしまったほどでした。
その大きな穴を塞いでいるのは、同じぐらいの長い時を超えてきたフランスの労働者の欠片の古布たちです。
丸いフォルムと膨らみが味のある内ポケットをつけました。
ライナーの手縫ならではの縫い皺が、ふくよかな表情を作ります。
生地の縮率差を利用した表地のたるみ皺や歪みを作り出した袖も、この服が只のVINTAGEをやめた事のしるしです。
筒そでの袖には切羽を作り、カフスをオープンできるように変更しました。
面倒な作業ですが、これによって着こなしの幅と表情が格段に広がるはず。
袖のボタンホールは麻の糸で手かがり、手の痕跡を残しています。
カフスに取り付けたボタンは、フランスのどこかで、長い間、土に埋もれていたメタルボタンたち。
緑青をふいて、泥(?)のこびりついた姿は眺めていて飽きることを知りません。
作業着でありながらテーラーリングをベースにした腕に沿うゆるやかな曲線を描く袖。
一度取り外し、裏をつけて2重にしたうえで、内側を手で掬い縫いして身頃に縫い付
ける事で、丸みのあるフォルムにしたポケット。
ステッチを表に出さない仕様で、手仕事の温っぽさを打ち消した
ミニマルな顔立ちが古いけれども新しい。
ハンドでライニングしたラスティックコットンのライナー。不揃いなステッチと、カットオフされたヘムで遊ぶ糸が、印象をドライで軽やかに。
オリジナルのボタンは、身頃と共地で包まれたくるみボタン。
リング状の金具で生地を挟んだだけのこのボタンは、ボタンを止める糸を支える部分に金属がなく、布で止めるだけの珍しい形。着込まれていた事や、保存状態から考えて、長年の生地の脆化でも破れずに、このようなボタンが全部揃っている事は非常に珍しい事だと思います。
衣服は骨董的な価値を求めるものではありません。その時、その時代の「最新」を
積み重ねて今に繋がる輝きが現代的な着装や感覚と融合し昇華した「古くて新しく、新しいけど古い」世界に1点だけの存在です。
サイズ 2
肩幅 =42cm
バスト=48cm(脇下)
袖丈 =61 cm
着丈 =69cm
フランス/日本製
表地 ソルトアンドペッパーコットン コットン100%
ライナー ラスティックコットン コットン100%
ボタン ファブリック包みボタン(オリジナル)と
アンティークファブリックの包みボタン
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1920-1930 Vintage ALTERATION Salt&Pepper French Work Jacket
[ALTERATION By Manure of Drawers] SOLD