新しいけど古いもの

新しいけど古いもの

Vintage Satin French Chore Work Worker Coat

Vintage Satin French Chore Work Worker Coat

 

1920-1930 ALTERATION Vintage Black Satin French Chore Work Worker Coat

 

 

昔のフランスのワークウェアの良さは、何と言ってもテーラーワークを基本にしたパターンと縫製が作り出す立体的で曲線的なデザインと、雰囲気溢れる生地の表情。

アメリカやイギリスのように、コントラストをつけた太く頑丈なステッチが2重3重に入るタフで無骨なワークウェアとは全くの別世界の代物です。

 

 

 

 

 

 

アトリエコートやブルーのフレンチサージのワークウェアなど、一般的な労働着以外にも豊かな感性に彩られたフランス独自の様々な労働着がありました。

 

 

 

 

 

 

食料品店などの比較的軽い作業が多い商店の物だったのでは無いかと思われる軽く柔らかなサテン生地のワークコートです。

 

 

 

 

 

 

フランスならではのミニマルで立体的なデザインとパターンが、ほぼ100年前の物とは思えない現代的な意外性に溢れています。

 

 

 

 

 

 

ワークコートでありながら、深みのある光沢が魅力的で柔らかな風合いの薄いサテン生地で仕立てられ、色もブラックという色合いなど洒落っ気のあるデザインはパリやリヨンなど、都市部の洗練を感じさせます。

 

 

 

 

 

 

テーラーワークを基本としたパターンメイクと縫製が、「 ファッション 」 と対極の位置にあるはずの「仕事着」を、今でも様々なメゾンやデザイナーがモデルとする高みに位置付けています。

 

 

 

 

 

 

この存在自体に既に十分味のあるコートにライナーを手でまつり縫いしてでライニングし、内ポケットを作り、ダメージの補修を行うなどのALTERATIONを加えた1着です。

 

 

 

 

 

 

適度な厚みのある未晒しの素朴な風合いとしわが魅力のインドで織られたコットンブロードのライニングは、表地とのコントラストと清潔感を作り出してくれます。

 

 

 

 

 

 

手でまつりつけたライニング。手の温もりではなくストイックさを伝える不揃いなステッチ、縫い皺の表情や生地のコントラストが乾いた奥行きを作り出します。

 

 

 

 

 

 

全体に散らばる細かな擦り切れからは、かつての持ち主の愛着が伝わります。

生地をあて、糸でかがり、糸を編み、糸を刺す。

さまざまな手法で飾ったその痕跡は、意図しても叶わぬ絵画です。

 

 

 

 

 

 

左右両方のポケットのダメージと補修のパッチ、ダーニング。

着込まれ、働くことを経た事で得た細かなダメージの補修の彩りは決して加工では再現することのできない、創造性を持つ時間を映す痕跡です。

 

 

 

 

 

 

真四角な飾り気のないものから作り替えた、

少し折り返して裏地とのコントラストをのぞかせる仕様がソフトなカフス。

 

 

 

 

 

 

内ポケットは古布のポケット口とハンドステッチが効いたソフトなフォルムで

端部を浮かせた手のすくい縫いがつくる丸みのあるもの。

 

 

 

 

 

 

少しくすんだ風合いに味のあるフランス産のVintageのガラスボタンと

古布で包んだ包みボタンを繋いだボタン。

 

 

 

 

 

 

ボタンホールは左右両方に作りました。

こうすることで、右前や左前、あるいは突き合わせた拝み止めや裏返しなど、着る人の好みで、男女の別なく着ていただけるコートになっています。

 

 

 

 

 

 

裾はライニングも表地も手縫いです。手縫いならではのステッチが柔らかで軽やかです。

 

 

 

 

 

 

防水、高発汗、強靭、難燃。素材はどんどん高機能になり、形も運動性や作業効率を追求したものへと進化を続けてきましたが、ファッション的には退化しているに違いないワークウェアの世界。

近年、フランス独特の際立った独自性がどんどん薄まってしまったり、アイテムそのものが作られなくなってしまったのは残念でなりません。

 

 

 

 

 

 

このコートのように昔のフランスのワークウェアは、働く人達のために生まれ、機能性の求めに応じて考えられた物であるはずなのに、「着心地」と「デザインの洗練」を忘れないものでした。

それこそがモード発祥の地、フランスのエスプリ精神の形だったのだと思います。

 

 

 

 

 

 

今も多くのデザイナーやブランドが砂を吹きかけ、石と一緒に洗い、紙やすりで削り、薬品に浸し、倉庫に眠る古の生地を掘り起こし、100年前の機織り機を修理して生地を織り、眠っていたミシンに油を注して過去に遡り、時間を経なければ、簡単には手にすることの叶わ無いものを、再現しようと努力を続け奮闘しています。

 

 

 

 

 

 

でもそれは、長い時間を経てきたものへの憧憬を形にした、表層的な作り物にしか、なり得ないのかもしれません。

ここにあるのは、本当に長い時間を経過した痕跡を凝集した本物に、現代性を融合させたものが形になった一着です。

 

 

 

 

 

 

衣服は骨董的な価値を求めるものではありません。

その時、その時代の「最新」を積み重ねて今に繋がる輝きを、現代的な着装や感覚と融合させ「古くて新しく、新しいけど古い」ものとして昇華させた世界に1点だけの存在を楽しんでいただきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

サイズ 2(M相当 )

肩幅 = 43cm

バスト= 55cm (脇下)

袖丈 = 60cm

着丈 = 95cm 

フランス/日本製
フロントファブリック  ライトウェイトコットンサテン          コットン 100%    
バックファブリック   ラスティックコットン                コットン 100%                 
ボタン         ヴィンテージフレンチガラスボタン&古布くるみボタン 

 

 

 

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1920-1930 ALTERATION Vintage Black Satin French Chore Work Worker Coat

[ALTERATION By Manure Of Drawers] SOLD

 

 

 

 

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