新しいけど古いもの

新しいけど古いもの

1930-1940 Vintage Pure French Linen Paysanne Jacket

1930-1940 Vintage Pure French Linen Paysanne Jacket

1930-1940 Vintage Pure French Linen Chore Work Worker Paysanne Jacket

 

 

 

大事にされ愛着があったからこそ、捨てられずに眠っていた誰かの箪笥の肥し。

1930-1940年代に仕立てられたフレンチリネンの1着です。

 

 

 

 

 

 

フランスはリネンの原料のフラックスの一大生産地で、自身の上質なフレンチリネンのブランドを誇るとともに、今なお世界のリネン原料のフラックス(亜麻)生産の70%以上を生み出し続ける昔からのリネン大国です。

しかしそのフランスも今では、原料栽培以外の工程(特に潤紡よる紡糸はほとんど中国)は国外で行われる事が殆どで、このジャケットが仕立てられた頃のように、純粋なフレンチリネン生地が手に入る事は少なくなってしまいました。

 

 

 

 

 

 

まだ地方の町には吊るしを売る洋品店も数少なく、ジャケットなどは注文で仕立てられる事が多かった時代、この1着もおそらく顧客の注文に応じて仕立てられたのではないかと思われます。

フランス人の体格ではイレギュラーかと思える小さくナチュラルな肩と薄い胸、当時としては狭いラペル。動きやすさに配慮しながらも滑らかでスリムなアーム、同じくスリムなボディと芯が殆ど無い軽い仕立てに、エレガントなサイドベンツという、当時としてはかなりへそ曲がりで粋な注文主の姿が浮かぶ1着です。

 

 

 

 

 

 

謎を深めるのは、へそ曲がりで粋というところから浮かぶパリなどでの都市生活者の

像とはかけはなれた、この粋な1着に刻まれた数々の擦り切れ、破れ、そして汚れです。

 

 

 

 

 

 

仕立て主は農夫で、農夫としては珍しいへそ曲がりで粋な感性を持っていて、

お気に入りの一着を一張羅として作業の間も休みの日もおかまいなしに着続けたのか、

はたまた仕立て主から譲り受けたのか。辿ってきたハードな愛着の痕跡は、趣をさらに深めます。

 

 

 

 

 

 

全体に散らばる経てきた時間を映す細かなダメージを、丹念に埋めて飾った小さくて粋なデザインを、

モダンな感性で楽しんで頂きたいと私達は考えます。

 

 

 

 

 

 

細やかなヘリンボーン地にストライプが走る粋な生地。

亜麻から生地を作り出すための、栽培、収穫、乾燥、浸水方式での製繊 、

潤紡方式による精紡、織布、整理。機械の精度も現代ほどではなかった頃に行われた複雑な工程の数々と、今よりもずっと多くの時間と人の手をかけられた、今では再現など到底不可能なテクスチャーの見事さが光ります。

時代を超えても、上質なリネンだけが持つ光沢と張りとトロミは全く損なわれていません。

 

 

 

 

 

 

麻は使えば使い込むほど柔かさ、光沢感が増すと言われます。

オールドリネンがもてはやされる事が示すように、リネンは着込まれた後が最も美しいのです。

 

 

 

 

 

 

高めのゴージラインは、現代にも通じるとてもモダンなシェイプです。

丸みを加えたヘムのクラシックなライン。暖かで爽やかな風の季節に似合う1着です。

 

 

 

 

 

 

ポケットの袋布も新たに作り直して取り替えています。

Vintageにありがちなポケットの隅にこびりついた得体の知れない残り物・・

流れた時間の贈り物とは呼べない物は、取り除くのが基本です。

 

 

 

 

 

裏地と表地の縮率差が生み出すしわ、たるみ、つりが作る計算された計算外の面白さが生きる個性的なシルエット。

 

 

 

 

 

 

ポケットのフラップ裏をラスティックコットンで作り変え、コントラストと動きを加えた質感あふれる豊かな表情。

 

 

 

 

 

 

ランダムにチョイスした、ヴィンテージのガラスボタンとフランスの納屋から出てきた古布で包んだ包みボタンのちからボタン。一つずつ麻糸で手付けしました。

 

 

 

 

 

 

開き見せ仕様で閉じられていた袖口は、本切羽に作り変え。開けても折り返しても、現代的なニュアンスを醸し、着こなす楽しみを広げるポイントになりました。

 

 

 

 

 

 

元からあったボタンホールも糸を解き、全てフレンチリネンのコードヤーンでかがり直したハンドホールです。

 

 

 

 

 

 

フラワーホールを広げて、襟を立てて止められるように。衿裏はオリジナルのフェルト生地を取り除き、身生地と同年代のフレンチリネンに張り替えています。

 

 

 

 

 

 

手仕事だからこその変則仕様のベントや切羽は、手縫い皺も美しい柔らかな仕様です。

 

 

 

 

 

 

キュプラのライニングと取り替えた、ラスティックなコットンブロードは、適度な張りとシワ感が有り、インドで織られた素朴な糸の表情が魅力です。

 

 

 

 

 

 

手でまつりつけたライナーの生地感と色のコントラストと清潔感。柔らかな縫い皺は、手仕事ゆえのふくよかさ。

 

 

 

 

 

 

ダメージのパッチ、ダーニング、穴かがり、刺し子。新たに作られた服には逆立ちしても手に入れられない、VINTAGEの魅力と風合いが今と結びついたハイブリッドは、セピア色の写真の世界を懐かしむだけの服とは一線を画します。

 

 

 

 

 

 

サイズ 1(44-46相当 S相当)

肩幅 =40cm 

バスト=50cm(脇下)  

袖丈 =62 cm 

着丈 =70cm

フランス/日本

表地   フレンチリネンピンストライプ          リネン100%               

ライナー ラスティックコットン          コットン100% 

ボタン  フレンチヴィンテージガラスボタン(ランダムチョイス)

               アンティークファブリックカバーボタン

 

 

 

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1930-1940 Vintage Pure French Linen Chore Work Worker Paysanne Jacket

[ALTERATION By Manure of Drawers]  SOLD