新しいけど古いもの

新しいけど古いもの

Vintage Pure Irish Linen Tailored Sports Jacket

Vintage Pure Irish Linen Tailored Sports Jacket

1940-1950 Vintage ALTERATION Pure Irish Linen Tailored Sports Jacket

 

 

 

高級リネンの代名詞として、最上級の証の「アイリッシュリネン」。

しかしアイルランドでのリネン生産は原料のフラックス(亜麻)栽培は1960年代に、フラックスから糸を紡ぐ紡績も、1990年頃までに全く行われなくなってしまいました。

 

 

 

 

 

 

本来アイリッシュリネンは、ベルギーから伝わり、アイルランド北部のアルスター地方(ドニゴール州やハードマンズ社のあったティロン州など9州)でさかんに栽培されていたフラックスを、アイルランドで紡績して糸を紡ぎ、アイルランドで織り上げたものでした。

 

今アイリッシュリネンとして流通している物は、主にフランスやベルギーのフラックスを、

中国やイタリアで糸に紡いでアイリッシュ・リネン・ギルドに加盟している業社と、その業者が認可した工場で織り上げただけのものです。

 

 

 

 

 

 

フラックスの栽培も糸の紡績も自分達はやっていないという事は、アイリッシュ・リネン・ギルドのHPにはっきり明記されています。

 

つまり今手に入る「アイリッシュリネン」の実際は、アイルランドとは全く関係のないものまでを含む、ブランドとしての「アイリッシュリネン」という商標のみが残り、「アイリッシュリネン」と名乗っているだけのフレンチリネンやベルギーリネンだということです。

 

 

 

 

 

 

「アイリッシュリネン」の評価を不動のものにしたのはアイルランドで栽培された、原料のフラックス自体の素晴らしさはもちろんの事ですが、そのフラックスから140番手という超細番手の糸を作り出せるほどのハードマンズ社に代表される高い紡績技術の蓄積でした。

 

 

 

 

 

 

そのハードマンズ社も、アイルランドでのフラックス栽培の消滅による原料枯渇のため1990年代には「アイリッシュリネン」の紡績は終焉を迎え,さらにハードマンズ社を代表する工場だったサイオンミルも2004年には閉鎖されました。そしてハードマンズ社の歴史も南アフリカと中国へのライセンス供与という形のみとなり、アイルランドでのピュアな「アイリッシュリネン」の歴史は閉じられてしまいました。

 

 

 

 

 

 

こうして今では幕を閉じてしまった「本物」の「アイリッシュリネン」は、どれほど望まれても、資金を投入しても、新たには手に入れることの叶わない物となりました。

10年ほど前にあるラグジュアリーブランドが復活させようとしましたが叶わず、せめて糸を手に入れようと探しましたが見つけることもできなかったようです。

現存する「アイリッシュリネン」は日本の滋賀にある林与が持っているたった3トンほどのヴィンテージのみなのかもしれないとの事です。

 

 

 

 

 

 

40年ほど前に仕入れられたその貴重な140番手の糸は、麻と思えない柔らかさの糸ですぐに切れてしまうので1日かかって50cmという超低速のシャトル織機で織り上げ、ミシンの送り歯や針で叩かれることにも耐えられない繊細なもの。

そのためハンドロールで優しく丁寧に仕上げられたハンカチは、45cm角で12,000-20,000円。

もっと番手の低い40番手の生地でさえ生地値で1mあたり60,000円以上もするのですからジャケットを「本物」の「アイリッシュリネン」で仕立てることなど、今では夢想するしかないものですし、値段は想像するのも恐ろしい物になりそうです。

 

 

 

 

 

 

そんな中で、まだ「本物」の「アイリッシュリネン」が作られていた頃のヴィンテージの発見は、どんなに望んでも手にすることのできない物を、手にいれられる唯一の方法に違いありません。

 

 

 

 

 

 

アイルランドで栽培し、紡績を行い、製織されたピュアなアイリッシュリネンが作られていた1940-1950年代のアイルランド、ドニゴール州で仕立てられたジャケットです。

ドニゴールは、北部アイルランド、アルスター地方9州の中でアイルランドから分離独立していない3州の一つで、ハリスツイードと並ぶツイードの産地としても有名な地域です。

 

 

 

 

 

 

本来の意味の「アイリッシュリネン」を扱う事が無くなって空洞化し、ブランドの管理団体になってしまう以前の、アイリッシュリネンギルドの前身時代のマークのあるラベル。アイルランドの国家色のグリーンで彩られた「Pure Irish Linen」の文字が誇らしげに輝きます。

 

 

 

 

 

 

これが麻?と思ってしまうほど軽く柔らかく繊細な手触り。織り自体もリラックスした緩めのふくよかなものですが、糸も細番手のもので織られた生地は、「アイリッシュリネン」の群を抜く特性であり魅力の「柔らかさ」を実感できます。

 

 

 

 

 

 

ライトブルー、ブルーグリーン、オリーブ、ブルーなど何色にも染め上げた糸を組み合わせたチェックに、さらにオレンジとライトブラウンが交差するグレンチェックは全ての色が柔らかなトーンの深みのあるシックな佇まい。

 

 

 

 

 

 

前身頃のヘムに丸みを加え、肩のフォルムを調整し、コバのステッチを全て解いて、ヘムにふくよかな柔らかさを持たせ、ラスティックコットンのライナーを全て手でまつり付けて空気を含むふくよかな表情にALTERATIONしたジャケットです。

 

 

 

 

 

 

手仕事だからこその変則仕様のベントや切羽は、手縫い皺も美しい柔らかな仕様です。袖は幅を調整するとともにに切羽を作り、着こなしの変化の楽しさが何倍にも広がる表情を加えました。

 

 

 

 

 

 

元からあったボタンホールも糸を解き、全てフレンチリネンのコードヤーンでかがり直したハンドホールです。

キュプラのライニングと取り替えた、ラスティックなコットンブロードは、適度な張りとシワ感が有り、インドで織られた素朴な糸の表情が魅力です。

手でまつりつけたライナーの生地感と色のコントラストと清潔感。柔らかな縫い皺は、手仕事ゆえのふくよかさ。

 

 

 

 

 

 

ポケットにはフラップを作り、フォルム自体も丸みのある形に調整するとともに、裏地をつけてポケットに膨らみを持たせ、さらに内側を手ですくい抜いしてポケットの端を浮かせ、立体感と表情のあるポケットに調整しました。

 

 

 

 

 

 

あえて縮率の違う裏地を縫い付けてから洗って縮ませる事で生まれる

計算された計算外の「しわ」と「たるみ」と「つり」が作り出す崩したフォルムの作る普通だけど普通じゃないシルエット。

 

 

 

 

 

 

このような貴重なヴィンテージに出会い、サイズが合っても、そのままでは

大きな肩パッドがついていたり、芯がカッチリしすぎていたり、袖が太すぎたり着丈が長すぎたりというように、今着るかたちは難しいもの。

この1着は「古いだけ」「新しいだけ」ではできない事ができるように姿を変えた1着です。

 

 

 

 

 

 

サイズ 2(46相当 )

肩幅 =40cm 

バスト=54cm(脇下)  

袖丈 =61 cm 

着丈 =69cm

アイルランド/日本製

表地   アイリッシュリネン      リネン100%

ライナー ラスティックコットン     コットン100% 

ボタン    バッファローホーンボタン(ランダムチョイス)

       アンティークファブリックの包みボタン

 

 

 

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1940-1950 Vintage ALTERATION Pure Irish Linen Tailored Sports Jacket

[ALTERATION By Manure of Drawers]  SOLD