1930-1940 Vintage Alteration University Of BRISTOL
BoatClub Boating Blazer
日本ではブレザーと言う名前は、IVYファッションの象徴として刷り込まれています。
アメリカがルーツのネイビーカラーでウールフラノでナチュラルショルダーで
センターフックドベントっていうブルックスブラザーズの物がステレオタイプとして
思い浮かび、真面目そうな学生や若者が着る服という印象が
強いのではないかと思います。
「Blazer」の語源は1830年頃のケンブリッジ大学のボート部のユニフォーム
(シングルブレストの真っ赤な物)という説と、同じ頃の英国軍艦ブレザー号の
ユニフォーム(こちらはネイビーのダブルブレスト)という説がありますが、
何れにせよルーツは英国という事です。
英国では、テーラードデザインのスポーツ・ジャケットもブレザーと呼びますので
Paul Harndenのリネン/ウールのツイードの物も、HOWARD HARDYの高級な生地を
サビルロウのHENRY POOLEで仕立てたビスポークも、Vivienne Westwoodの
ラペルがハートになったものも〝Blazer〟なのは、日本人にはちょっと違和感の
あるところかもしれません。
そんな英国の数多あるブレザーの中から、70年以上も前に仕立てられた
一着をチョイスしました。
このブレザーは英国南西部で港湾都市として栄えている街、Bristol(ブリストル)の
歴史ある名門校、University of BRISTOL(ブリストル大学)のボート部の
クラブユニフォームのヴィンテージです。
ブリストル大学は1876年創立で昨年の世界大学ランキング37位
(東大38位より上)で、12人のノーベル賞受賞者を輩出している名門大学です。
このブレザーが仕立てられた1930年代には、
あのウィンストン・チャーチルが学長を務めていました。
3か所あるポケットは、端を押えステッチで叩きつけた平面的で普通のもので、
ウエストポケットのフラップはありませんでした。
ポケットを一度解体し、別のヴィンテージから切り取った布と袋縫いに縫い合わせ、
フォルムも丸みのある形に変更して立体感を加えてあります。
端を浮かせて内側だけを手で掬い縫いすることで、さらにふくよかで柔らかい
味のあるポケットとなりました。新たに作ったフラップも表情を加えています。
学校の旗に掲げられているのと同じ、太陽、聖書、馬、シーモンスターの
モチーフと紋章の入ったエンブレム。
すっかり色が褪めて歪み、浮き上がったモールや、陽に焼けた基布など
経てきた年月による風化が、本当に趣深く得難い風合いを醸しています。
修正前には形は崩れ歪み、内側のモールがほとんどはずれて紋章部分が
基布ごとめくれ上がっていました。それらを補修したステッチや
破れたモールとモールの隙間のダメージを埋めた手差しも
味わい深いアクセントです。
袖口辺りにちらほらと見られた、元のオーナの愛着、愛用の証のダメージには
小さいパッチを細やかなステッチでかがり、開きを作ったことで必要になった
ボタンホールも手かがりです。
ボタンは古いカレッジブレザーに良く見られる刻印の無いシンプルなもの。
鈍色に染まり輝きの失せ始めた時の証人です。
開き見せの仕様だった袖口を、本開きに作り変えた手仕事ならではの変形の本切羽です。
元は袖丈の調整用の遊びや余りが全く無い仕立てなので、額縁など作り得ず、
ギリギリをやりくりしながらの作りです。
でも、こうすることで得られる袖口の表情の豊かさは、着こなす上での楽しさを倍増させて
くれるはずです。
ブラックの色合いが深く風合い豊かなウールフランネル。
角がゆるくラウンドしただけのストレートな印象だったヘムを
ラウンドしたシェイプに変更し、襟周りを含めたコバのステッチをすべて
解いて取り除いてふくらみをもたせたヘムラインは、
クラシックかつモダンなスタイルを作り出します。
ノーベントのボディに作ったサイドベンツは、カジュアルなアイテムに
深みと上質さを加えます。
手仕事だからこその変形のスリットは手縫い皺も美しい柔らかな仕様です。
1枚仕立てのオリジナルに、手でまつりつけたライナーの生地と色のコントラストや
手縫いの縫い皺の作るふくよかな皺が、古着にまとわりつく不潔感を消し去り、
さらに古着につきまとう重い印象を払拭し、現代的な印象へと変化させる要素です。
当時、このような名門校に通われた方々は、当然裕福な方が多く、
さらにその中でも選ばれた少数の人々しか手にいれる(仕立てる)事が
許されないはずのこういった、クラブブレザーは
誇りと思い出の象徴です。
同窓会や母校の集まりには勇んで着込んで行かなければいけない物ですし、
オーナーの存命中は現役の勝負服なのです。
亡くなった後もきっと、思い出とともに箪笥やクローゼット、
あるいは地下室で大切に保管され、捨てられたり、
ましてや古着商に売り渡す事など考えられないというものであろうだけに、
こういう形で私達が扱えた事自体、かなりの僥倖なのだと思います。
ブレザーの中のブレザーと呼べる貴重な1着を、
ただ「希少で貴重で古いもの」という点だけが魅力という事で終わらせるのでは無く、
ヴィンテージの持つ輝きを、現代的な着装や感覚と融合させ
「古くて新しく、新しいけど古い」ものとして昇華させた
世界に1点だけの1着の輝きを楽しんでいただければと思います。
サイズ 2(Sから小さめのM相当 )
肩幅 =40cm
バスト=49cm(脇下)
袖丈 =60 cm
着丈 =68cm
イギリス/日本製
表地 ウールフランネル ウール100%
ライナー ラスティックコットン コットン100%
ボタン ヴィンテージ及びアンティークのメタルボタン(ランダムチョイス)
アンティークファブリックの包みボタン
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1930-1940 Vintage Alteration University Of BRISTOL
BoatClub Boating Blazer
[ALTERATION By Manure of Drawers] SOLD