1950-1960 Vintage ALTERATION Old French Postal Company PTT’s Postal Jacket
フランスのワークウェアは、テーラーワークを基本としたパターンメイクと
縫製を基本とし、「 ファッション 」と対極の位置にあるはずの「労働着」が、様々なメゾンやデザイナーのお手本となり続ける、単なる労働着を超えた存在です。
現在のフランス郵政公社(La Poste)の前身で1880年から1990年までフランスの郵便と電話事業を行っていたPTTが第二次大戦の軍服の余剰品を転用して一時使用していた1950年代の制服です。
ウエストの絞られた自然で美しいフォルムは、支給品と思えない繊細なフィッティングです。
高めのゴージの裏にダーツをとったかえりの美しいラペルは、このころのフレンチテーラードの真骨頂。立体的な曲線を描くコンパクトなシルエットは、現代でも全く遜色を感じさせない存在感を発揮します。
生地は今は着込まれて柔らかくなってはいるものの、最初はかなりゴワついていたのではないかと思わせるしっかりとした肉厚で、きつい打ち込みのかなり目の詰まったミリタリーならではの細番手のコットンツイルです。
襟につけられているのはコーポレートカラーの赤で刺繍されたPTTのエンブレム。このあたりにも軍服の影響が感じとれるクラシックなデザインです。
ショートポイントの衿は詰襟のように、立てた姿もとても様になります。
経てきた時間を映す数々のダメージは、新たに作られた服には逆立ちしても手に入れられないものです。VINTAGEの魅力と風合いが今と結びついたハイブリッドはセピア色の写真の世界を懐かしむ服とは一線を画しています。
ボタンはオリジナルの真鍮のもの。金メッキ自体は70年経ってもくすまず色あせてもいませんが、メッキの剥がれた傷の部分には、時間の痕跡が刻み込まれています。
丸いフォルムと膨らみが味のある内ポケット。ラスティックコットンをライニングしているのはハードマンズ社のアイリッシュリネンヤーンのハンドトリミングです。
肩の大きなダメージへ施された補修のパッチ。裾や袖口のダメージ補修とともに、元のオーナーがハードに着用してっ仕事に勤しみ、肩がけのポストマンバッグを使っていたことを偲ばせる痕跡です。
作業着でありながらテーラーリングをベースにした
腕に沿うゆるやかな曲線を描く袖。
一度取り外し、裏をつけて2重にしたうえで、内側を手で掬い縫いして身頃に縫い付ける事で、
丸みのあるフォルムと立体感を作り出したポケット。
解体してラスティックコットンに変更したフラップ裏のコントラストも気の利いたアクセント。
不揃いなステッチとカットオフされたヘムで遊ぶ糸が感じさせるのは、手仕事の素朴さや温かみではなく、ストイックでドライな軽やかさです。
衣服は骨董的な価値を求めるものではありません。その時、その時代の「最新」を積み重ねて今に繋がる輝きが現代的な着装や感覚と融合し昇華した「古くて新しく、新しいけど古い」世界に1点だけの存在です。
サイズ 2(Sから小さめのM相当 )
肩幅 =40cm
バスト=49cm(脇下)
袖丈 =60 cm
着丈 =68cm
フランス/日本製
表地 高密度ツイル コットン100%
ライナー ラスティックコットン コットン100%
ボタン 真鍮メタルボタン(オリジナル)と
アンティークファブリックの包みボタン
STOREへのリンク
1950-1960 Vintage ALTERATION Old French Postal Company PTT’s Postal Jacket
[ALTERATION By Manure of Drawers] SOLD