1950-1960 Vintage Pure French Linen Dobby&Stripe Tailor Jacket
大事にされ愛着があったからこそ、捨てられずに眠っていた誰かの箪笥の肥し。サフィラン社など数社の紡績会社はありますが、今ではフラックスの栽培以外の多くの工程を東欧や中国、南アフリカなどの委ねるフランスで、まだリネン作りの全ての工程が行われていた頃の1着です。
亜麻から生地を作り出すための、栽培、収穫、乾燥、浸水による発酵を利用した製繊 (温水によるWATER RETTINGか土の上での雨露で発酵させるDEW RETTING)、茎の余分な部分を砕いて取り除くスカッチング(Scutching)、繊維を整え選り分けるハックリング(hackling)、湿式(wet spinning)あるいは乾式(dry spinning)による精紡、織布、整理。
深いネイビーにブルーグレイのペンシルストライプといったシックな配色のファブリック。ストライプとストライプの間に、ベースの生地より少し太くネップのある糸を2本走らせたドビー。目を凝らさなければ気付かないほどに控えめな変化に、わざわざ技術と手を尽くし生地の表情を幾層にも深めるあしらいは、現代の生地ではなかなか見られないヴィンテージならではの粋とフランスのエスプリの表れです。
機械の精度が現代ほどではく、また規模も大きくなくて自動化率も低く、多くは人の手と目で行われた複雑な工程の数々と、今よりもずっと多くの時間をかけられた、今では再現不可能なテクスチャー。
機械も肥料も科学や技術も進化して、昔よりもずっと良い物が作れるはずの現代ですが、麻も綿もウールも昔に作られた物の良質さや、風合いの良さに追いつけない事が多いと言われます。機械や技術の進歩だけでは、その機械や技術がなかった頃の人が身につけた知識と経験には敵わないのが事実なのです。
袖口などに散らばる経てきた時間を映す細かなダメージを、丹念に埋めて飾った小さくて粋なデザインを、モダンな感性で楽しんで頂きたいと考えます。
麻は使えば使い込むほど柔かさ、光沢感が増すと言われます。オールドリネンがもてはやされる事が示すように、リネンは着込まれた後が最も美しいのです。
高い位置に取られたノッチと細いラペルは、70年前の時代を感じさせない現代に通じるとてもモダンなシェイプです。丸みを加えたヘムのクラシックなライン。暖かで爽やかな風の季節に似合う1着です。
ポケットの袋布も新たに作り直して取り替えています。Vintageにありがちなポケットの隅にこびりついた得体の知れない残り物・・流れた時間の贈り物とは呼べない物は、取り除くのが基本です。
コバのステッチを解く事で、端々衿や裾に空気を含んだ豊かな表情が生まれます。
裏地と表地の縮率差が生み出すしわ、たるみ、つりが作る計算された計算外の面白さが生きる個性的なシルエット。
閉じられていた袖口は、本切羽に作り変え。開けても折り返しても、現代的なニュアンスを醸し、着こなす楽しみを広げるポイントになりました。
フラワーホールを広げて、襟を立てて止められるように。衿裏はオリジナルのフェルト生地を取り除き、フェードの美しいインディゴのリネン生地に張り替えています。
ポケットのフラップ裏をラスティックコットンで作り変え、コントラストと動きを加えた質感あふれる豊かな表情。
手仕事だからこその変則仕様のベントや切羽、手縫い皺も美しい柔らかな仕様です。
キュプラのライニングと取り替えた、ラスティックなコットンブロードは、適度な張りとシワ感が有り、インドで織られた素朴な糸の表情が魅力です。
手でまつりつけたライナーの生地感と色のコントラストと清潔感。柔らかな縫い皺は、手仕事ゆえのふくよかさ。
流行やブランドや値段の多寡に惑わされない価値観を持った方々の
その人自身を魅せる衣です。
サイズ 1(44相当 S相当)
肩幅 =39cm
バスト=46cm(脇下)
袖丈 =58 cm
着丈 =70cm
フランス/日本
表地 フレンチリネン リネン100%
ライナー ラスティックコットン コットン100%
ボタン バッファローホーンボタン(ランダムチョイス)
アンティークファブリックカバーボタン
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1950-1960 Vintage Pure French Linen Dobby&Stripe Tailor Jacket
[ALTERATION By Manure of Drawers] SOLD