新しいけど古いもの

新しいけど古いもの

Vintage “MOYGASHEL” Pure Irish Linen Sports Blazer

Vintage  “MOYGASHEL” Pure Irish Linen Sports  Blazer

 

 

 

1950-1960 Vintage ALTERATION Genuine Irish Linen  Sports Blazer made of “MOYGASHEL” Fabric

 

 

 

高級リネンの代名詞として、最上級の証の「アイリッシュリネン」。しかしアイルランドでのリネン生産は原料のフラックス(亜麻)栽培は60年以上も前の1960年代に、フラックスから糸を紡ぐ紡績も、1990年頃までに全く行われなくなってしまいました。

 

 

 

 

 

 

本来アイリッシュリネンは、ベルギーから伝わり、アイルランド北部のアルスター地方(ドニゴール州やハードマンズ社のあったティロン州など9州)でさかんに栽培されていたフラックスを、アイルランドで紡績して糸を紡ぎ、アイルランドで織り上げたものでした。

今アイリッシュリネンとして流通している物は、主にフランスやベルギーのフラックスを、中国やイタリアで糸に紡いで、アイリッシュリネンの認可団体であるアイリッシュ・リネン・ギルドに加盟している業社と、その業者が認可した工場で織り上げたものです。

 

 

 

 

 

 

しかし、アイリッシュリネンと認可されていても、フラックスの栽培も糸の紡績も自分達では、もはや行っていないという事が、アイリッシュ・リネン・ギルドのHPには明記されています。つまり、今、手に入れられる「アイリッシュリネン」の実際は、アイルランドとは全く関係のないものまでを含む、ブランドとしての「アイリッシュリネン」という商標のみであり、「アイリッシュリネン」と名乗っているだけのフレンチリネンやベルギーリネン、あるいははチャイニーズリネンなのだということです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アイリッシュリネン」の評価を不動のものにしたのはアイルランドで栽培された原料のフラックス自体の素晴らしさはもちろんの事ですが、そのフラックスから細番手の糸を作り出せる高い紡績技術の蓄積でした。

 

 

 

 

 

 

北アイルランド中央のミッド・アルスター(Mid-Ulster)、Tyrone県のMoygashelは、アイルランドの亜麻(フラックス)栽培の中心地であり、17世紀初頭から栽培が行われ、地域のフラックス生産を集約した、Moygashel Linen Millsが1780年代に設立されました。

貴族階級の麻布の製造業者としてスタートした Moygashelリネンは、家具や衣服に使用するために世界中に輸出され、よく知られた高品質のブランドで、20世紀半ばまでは、十分に確立されたグローバル市場に様々なリネン製品を送り出していました。

 

 

 

 

 

 

しかし、Moygashel社も、同じアイルランドのリネン紡績企業のハードマンズ社と同じく、アイルランドでのフラックス栽培の消滅による原料枯渇のため業績が不安定化。何度かの買収を経て、創業の地のMoygashel Linen Millsは閉鎖され、[The Linen Green]というショッピングセンターとなりました。Moygashelのブランドは、[Ulster&Weavers]と言うホームファニシング会社内の、上級インテリアファブリックブランドとして残るのみとなり、アイルランドでのピュアな「アイリッシュリネン」の歴史は閉じられてしまいました。

 

 

 

 

 

 

こうして今では幕を閉じてしまった「本物」の「アイリッシュリネン」はどれほど望まれても、資金を投入しても、新たには手に入れることの叶わない物となりました。

10年ほど前にあるラグジュアリーブランドが復活させようとしましたが叶わず、せめて糸を手に入れようと探しましたが見つけることもできなかったようです。現存する「アイリッシュリネン」は日本の滋賀にある林与が持っているたった3トンほどのヴィンテージのみなのかもしれないとの事です。

 

 

 

 

 

 

40年ほど前に仕入れられたその貴重な140番手の糸は、麻と思えない柔らかさの糸ですぐに切れてしまうので1日かかって50cmという超低速のシャトル織機で織り上げ、ミシンの送り歯や針で叩かれることにも耐えられない繊細なもの。

だからハンドロールで優しく丁寧に仕上げられたハンカチが、45cm角のもので12,000-20,000円。

 

 

 

 

 

 

番手の低い40番手の生地でさえ生地値で1mあたり60,000円以上もするのですから、ジャケットを「本物」の「アイリッシュリネン」で仕立てることなど、今では夢想するしかないものですし、値段は想像するのも恐ろしい物になりそうです。

 

 

 

 

 

 

そんな中で、まだ「本物」の「アイリッシュリネン」が作られていた頃のヴィンテージの発見こそが、どんなに望んでも手にすることのできない物を、手にいれられる唯一の方法に違いありません。

 

 

 

 

 

 

アイルランドで栽培し、紡績を行い、製織されたピュアなアイリッシュリネンが作られていた、1950-1960年代のアイルランド、Moygashelの生地で仕立てられたジャケットです。

 

 

 

 

 

 

アイルランドの国家色のグリーンで彩られた「 Irish Linen」の文字が誇らしげに輝くラベル。

 

 

 

 

 

 

本物のアイリッシュリネンの感触は、これが麻?と思ってしまうほど軽く柔らかく繊細な手触りです。織り自体もリラックスした緩めのふくよかなものですが、糸も細番手のもので織られた生地は、「アイリッシュリネン」の群を抜く特性であり魅力の「柔らかさ」を実感させて、「リネン」への認識が変わるほどに繊細です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前身頃のヘムに丸みを加え、肩のフォルムを調整し、コバのステッチを全て解いて、ヘムにふくよかな柔らかさを持たせ、ラスティックコットンのライナーを全て手でまつり付けて空気を含むふくよかな表情にALTERATIONしたジャケットです。

 

 

 

 

 

 

手仕事だからこその変則仕様のベントや切羽は、手縫い皺も美しい柔らかな仕様です。袖は幅を調整するとともにに切羽を作り、着こなしの変化の楽しさが何倍にも広がる表情を加えました。

 

 

 

 

 

 

元からあったボタンホールも糸を解き、全てフレンチリネンのコードヤーンでかがり直したハンドホールです。キュプラのライニングと取り替えた、ラスティックなコットンブロードは、適度な張りとシワ感が有り、インドで織られた素朴な糸の表情が魅力です。手でまつりつけたライナーの生地感と色のコントラストと清潔感。柔らかな縫い皺は、手仕事ゆえのふくよかさ。

 

 

 

 

 

 

ポケットの袋布も全て新たに作り直して取り替えています。Vintageにありがちなポケットの隅にこびりついた得体の知れない残り物・・流れた時間の贈り物とは呼べない物は、取り除くのが基本です。

 

 

 

 

 

 

襟は立てて止められるように。衿裏もオリジナルのフェルト生地を取り除き、アンティークのリネン生地に張り替えています。

 

 

 

 

 

 

ダメージ部分を手で継いだパッチの、手だからこそを楽しんで。

 

 

 

 

 

 

このような貴重なヴィンテージに出会い、サイズが合っても、そのままでは大きな肩パッドがついていたり、芯がカッチリしすぎていたり、袖が太すぎたり着丈が長すぎたりと、今着るかたちは難しいもの。

この1着は「古いだけ」「新しいだけ」ではできない事ができる1着です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サイズ 2(46相当 )

肩幅 =40cm 

バスト=52cm(脇下)  

袖丈 =60 cm 

着丈 =70cm

アイルランド/日本製

表地   アイリッシュリネン      リネン100%

ライナー ラスティックコットン     コットン100% 

ボタン    バッファローホーンボタン(ランダムチョイス)

       アンティークファブリックの包みボタン

 

 

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1950-1960 Vintage ALTERATION Genuine Irish Linen  Sports Blazer made of “MOYGASHEL” Fabric

[ALTERATION By Manure of Drawers]  SOLD