新しいけど古いもの

新しいけど古いもの

Vintage Geometric Pattern “PIERRE CARDIN” Democratized made Jacket

Vintage Geometric  Pattern  “PIERRE CARDIN” Democratized made Jacket

 

 

Early 1960’s Vintage Wool Geometric Grid Pattern Fabric by “PIERRE CARDIN” Democratized made Jacket

 

 

 

今では煌びやかなファッションの表舞台での脚光を浴びる事はありませんが、Pierre Cardin(ピエール・カルダン)はアヴァンギャルドなスタイルとコスモコールなデザイン、幾何学的な模様や形を取り入れた実験的なアイデアをどんどん形にした先駆者でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

彼は注文仕立のオート・クチュールが中心のモードの世界で、「モードの民主化」と呼ばれたプレタポルテを誰よりも先駆けて始め、デザイナーで初めてライセンスビジネスを興し、インテリアから車、ジェット機まであらゆるライフスタイルに関わる商品をデザインした異端児でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

モードやファッションは限られたエリート階級世界のオート・クチュールで、しかも女性のためのものといった当時の常識を覆し、オー トクチュール界から除名扱いを受けながらも強い意志を貫き,1959年にスタートしたプランタン百貨店のプレタポルテに引き続き60年からメンズの展開を開始して時代をリードする存在でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピエール・カルダンは既製服を誰にでも身近に感じられるラインとしてだけでな く、華やかなデザイナーブランドとして売り出した初のデザイナーでした。特にメンズファッションの分野では、カルダンが登場するまでは、テーラーの手による入念なカッティングと縫製によるクラシックスーツか、カッティングも縫製も機械に頼り、外形がどれも酷似し、デザインと いう発想は入り込む余地の無い 既製服しかありませんでした。しかしカルダンはそれを覆し、素材の見直しから婦人服同様の曲線の多用、ディテールにまでデザインを加え、新しいシルエットのスーツを作りあげ ました。

 

 

 

 

 

 

このことは、男性のスーツにデザインという概念を持ちこんだファッション史上において革新的な出来事であり、それまで自らの容姿にほとんど興味がなく,ブティックに足を踏み入れることなど考えもしなかった男たちの意識を変え、紳士服の限界を広げ、同時代のデザイナーに大きな影響を与えました。Lanvin、Givenchy、Dior、Balmain、Cerruti、Saint-Laurent・・みんな彼の切り開いた道を歩みました。

 

 

 

 

 

 

 

 

何重にも芯の入ったかっちりした仕立て、パッドの入った厚い肩、それまでの男性的なクラシックスーツと一線を画す、立体的で細くしなやかなカルダンの生み出した「シリンダーライン」を始めとするカルダンの革新は60年代以降の男性の「NEW LOOK」像の幕開けとなりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

大文字アルファベットの旧ラベルのカルダンのメンズライン初期のジャケットです。

 

 

 

 

 

 

 

 

深いグリーンにグレーややまぶき色、濃いオレンジなどのネップを混ぜた太い番手の糸で織り上げたツイード調のベースに、赤い糸でカルダンらしい幾何学的な印象の大胆な格子柄を配した生地は、今でも十分に新鮮なものですが、メンズ用の素材としては、当時としては誰も見たことのない斬新で大胆なものだったと思われます。

 

 

 

 

 

 

男性用のジャケットに使われる生地としては、無地のサージやフランネル、あるいはヘリンボーンやタータンやグレンチェックといったベーシックでクラシックな柄しか無く、色もグレーやネイビー、ブラックなどが中心という時代に、この意匠性に富んだ生地がいかに革新的なものであったかは言うまでも無い事だと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

シリンダーラインの流れをくむ、ボディラインに沿って絞られたウエストとナローなラインのラペルを持った美しいフォルムのジャケットです。

 

 

 

 

 

 

前身頃のヘムに丸みを加え、肩を調整し、コバのステッチを全て解いて、ヘムにふくよかな柔らかさを持たせ、

ラスティックコットンのライナーを全て手でまつり付けて空気を含むふくよかな表情にALTERATIONしています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

手仕事だからこその変則仕様のベントや切羽を作り、着こなしの変化の楽しさが何倍にも広がる表情を加えました。

 

 

 

 

 

 

 

 

元からあったボタンホールも糸を解き、全てかがり直したハンドホールです。

キュプラのライニングと取り替えた、ラスティックなコットンブロードは、適度な張りとシワ感が有り、インドで織られた素朴な糸の表情が魅力です。手でまつりつけたライナーの生地感と色のコントラストと清潔感。柔らかな縫い皺は、手仕事ゆえのふくよかさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

フラップを作りフィルムをフォルムをチューニングしたポケット。

 

 

 

 

 

 

あえて縮率の違う裏地を縫い付けてから洗って縮ませる事で生まれる計算された計算外の「しわ」と「たるみ」と「つり」が作り出す崩したフォルムの作る普通だけど普通じゃないシルエット。

 

 

 

 

 

 

 

 

このような貴重なヴィンテージに出会い、サイズが合っても、そのままでは今に合う気分は難しいもの。

 

 

 

 

 

 

現代では再現不可能なものを、ただ「希少で貴重で古いもの」という魅力だけではなく、

ヴィンテージの持つものを、現代的な着装や感覚と融合させた、流行りじゃないから廃れる事の無い、古いけれども古びない1着です。

 

サイズ 2

肩幅 =41cm 

バスト=48cm(脇下)  

袖丈 =59 cm 

着丈 =69cm

フランス/日本

表地   ジオメトリックグリッド&ネップ ツイード  ウール100%              

ライナー ラスティックコットン           コットン100% 

ボタン  バッファローホーンボタン(ランダムチョイス)

                 アンティークファブリックカバーボタン

 

 

 

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Early 1960’s Vintage Wool Geometric Grid Pattern Fabric by “PIERRE CARDIN” Democratized made Jacket

 

[ALTERATION By Manure of Drawers]  SOLD