新しいけど古いもの

新しいけど古いもの

French Rustic Heavy Linen Chore Worker Coat

French Rustic Heavy  Linen Chore Worker Coat

 

19th Century Antique  French Rustic Heavy  Linen Chore Work Worker Coat

 

 

今なお世界のリネン原料のフラックス(亜麻)生産の70%を生み出し続けるフランスは、文字通りのリネン大国です。栽培には温帯から熱帯の気候を必要とするため、綿の栽培が難しいフランスの気候に適した亜麻は、衣類のみならずシーツなどの寝具や寝間着などのホームリネンから、テーブルクロスやナプキンなどのテーブルリネンにも使われフランス人にとっては綿以上に生活に密着した最も身近な繊維です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

近年では中国などの紡績技術の発展により、原料栽培以外の工程(特に潤紡よる紡糸はほとんど中国)はフランス以外で行われ、リネンを糸にする紡績工程は国外がほとんどとなりました。しかし、この生地が作られた100年以上も前の時代では、フランス国内で栽培、紡績、製織された真正のフレンチリネンと言える生地が作られていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

19世紀末頃に織られたフレンチリネンのアンティーク生地を使ったワークコートです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

撚りを強くかけたリネン糸を1/1の緊密な平織りに織り上げた張りのある生地。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラスティックでしっかりとした厚みと重量感のあるリネンの生地は、Biaudeに使われるVilletteの繊細な表情とは全く違った迫力を持ち、洗練や洒落っ気とは全く違った農業大国フランスの骨太さが伝わる、無骨さと素朴さが溢れています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昔のフランスのワークウェアの良さは、何と言ってもテーラーワークを基本にしたパターンと縫製が作り出す立体的で曲線的なデザインと、雰囲気溢れる生地の表情。アメリカやイギリスのように、コントラストをつけた太く頑丈なステッチが、2重3重に入るタフで無骨なワークウェアとは全くの別世界の代物です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

独自のスタイルを見せながらも、現代に通用するモダンさを持ったスタイリッシュなワークウエアが勢ぞろいする中で、全く違った魅力を持つ仕事着がフランスにはあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フランスならではのミニマルで立体的なデザインとパターンと、今から100年以上前の物とは思えない現代的な意外性に溢れ、野趣溢れる骨太な生地のテクスチャーの融合。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

縫われていたテープの色が残る生地端部。それをあえて活かして使った背中と左脇のライン。長い時間にしか作れない得難いアクセント。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

体のラインに沿う肩傾斜や テーラーのような袖付けと、腕の稼働の必要性に合わせて曲線を描きだす美しい袖の作り。シームやカフスのハンドステッチが作るミニマルなアクセント。

 

 

 

 

 

 

深く切られたベントは、たっぷりとした蹴回し分量をさらに表情豊かに彩ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハンドステッチでのライニング。手の温もりではなくストイックさを伝える不揃いなステッチ、縫い皺の表情や生地のコントラストが乾いた奥行きを作り出します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間による風化、汚れによる滲染、陽灼けによる退色、様々な要素が積み重なった言葉のいらない存在感。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長い時間を経てきた生地に残る時間の痕跡は、意図して作れないものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

内ポケットはアンティークリネンのポケット口とハンドステッチが効いたソフトなフォルムで、端部を浮かせた手のすくい縫いがつくる丸みのあるもの。

 

 

 

 

 

 

ボタンはグレーの濃淡の色合いがモダンな味のあるデッドストックの樹脂のもの。狭い間隔でずらりと並ぶボタンは、モダンかつクラシックな印象。

 

 

 

 

 

 

リネンのハンドステッチが効いた、少し厚みを持たせたライニングの裾。

 

 

 

 

 

 

防水、高発汗、強靭、難燃。素材はどんどん高機能になり、形も運動性や作業効率を追求したものへと進化を続けてきましたが、ファッション的には退化しているに違いないワークウェアの世界。近年、独特の際立った独自性がどんどん薄まってしまったり、アイテムそのものが作られなくなってしまったのは残念でなりません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今も多くのデザイナーやブランドが砂を吹きかけ、石と一緒に洗い、紙やすりで削り、薬品に浸し、倉庫に眠る古の生地を掘り起こし、100年前の機織り機を修理して生地を織り、眠っていたミシンに油を注して過去に遡り、時間を経なければ、簡単には手にすることの叶わ無いものを、再現しようと努力を続け奮闘しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長い時間を経てきたものへの憧憬を形にした表層的な作り物ではなく、その時、その時代の「最新」を積み重ねて今に繋がる輝きを、現代的な着装や感覚と融合させ「古くて新しく、新しいけど古い」ものとして昇華させた存在にしていきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

サイズ2(M-L相当 )

肩幅 = 45cm

バスト= 55cm (脇下)

袖丈 = 61cm

着丈 = 107cm 

フランス/日本製

フロントファブリック  = Antique French Heavy  Linen / Linen 100%
バックファブリック   = Indian Rustic Cotton  Broad Cloth / Cotton100%
ボタン         = Dead Stock French Resin Buttons 

                                    & Antique Fabric Covered Buttons

 

 

 

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19th Century Antique  French Rustic Heavy  Linen Chore Work Worker Coat[STANDARD By Manure Of Drawers] SOLD