新しいけど古いもの

新しいけど古いもの

Vintage True Pure Irish Linen Jacket

Vintage  True Pure Irish Linen Jacket

 

1960-1970 Vintage ALTERATION True Pure Irish Linen Jacket by “Magee of Donegal Ireland” for   “Lester Bowden London”

 

 

高級リネンの代名詞として、最上級の証の「アイリッシュリネン」。しかしアイルランドでのリネン生産は原料のフラックス(亜麻)栽培は60年以上も前の1960年代に、フラックスから糸を紡ぐ紡績も、1990年頃までに全く行われなくなってしまいました。

 

 

 

 

 

 

本来アイリッシュリネンは、栽培方法がベルギーから伝わり、アイルランド北部のアルスター地方(ドニゴール州やハードマンズ社のあったティロン州など9州)でさかんに栽培されていたフラックスを、アイルランドで紡績して糸を紡ぎ、アイルランドで織り上げたものでした。今、アイリッシュリネンとして流通している物は、主にフランスやベルギーのフラックスを、中国やイタリアで糸に紡いでアイリッシュ・リネン・ギルドに加盟している業社と、その業者が認可した工場で織り上げただけのものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フラックスの栽培も糸の紡績も自分達はやっていないという事が、アイリッシュ・リネン・ギルドのHPに明記されています。つまり、今手に入る「アイリッシュリネン」の実際は、アイルランドとは全く関係のないものがほとんどのブランドとしての「アイリッシュリネン」に過ぎません。つまり「アイリッシュリネン」と名乗っているだけの、フレンチリネンやベルギーリネン、あるいはチャイニーズリネンだということです。

 

 

 

 

 

 

アイリッシュリネン」の評価を不動のものにしたのはアイルランドで栽培された原料のフラックス自体の素晴らしさはもちろんの事ですが、そのフラックスから細番手の糸を作り出せる高い紡績技術の蓄積でした。

 

 

 

 

 

 

北アイルランドのアルスター(Ulster)、や ドニゴール(Donagal)では17世紀初頭から亜麻の栽培が行われ、有名なMoygashel Linen Millsやリネン紡績企業のハードマンズ社など、世界的にもリネン産業をリードする会社が設立されました。しかし、これらの企業もアイルランドでのフラックス栽培の消滅による原料枯渇のため1970年代以降は業績が不安定化。アイルランドでのピュアな「アイリッシュリネン」の歴史は閉じられてしまいました。

 

 

 

 

 

 

こうして今では幕を閉じてしまった「本物」の「アイリッシュリネン」はどれほど望まれても、資金を投入しても、新たには手に入れることの叶わない物となりました。10年ほど前にあるラグジュアリーブランドが復活させようとしましたが叶わず、せめて糸を手に入れようと探しましたが見つけることもできなかったようです。現存する「アイリッシュリネン」はもはや日本の滋賀にある林与が持っているわずか3トンほどのヴィンテージのみなのかもしれないとの事です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

40年ほど前に仕入れられたその貴重な140番手の糸は、麻と思えない柔らかさの糸のため、普通の織り機ではすぐに切れてしまうので、1日かかって50cmという超低速のシャトル織機で織り上げ、ミシンの送り歯や針で叩かれることにも耐えられない繊細なもの。だからハンドロールで優しく丁寧に仕上げられたハンカチが、45cm角のもので12,000-20,000円。

 

 

 

 

 

 

vintageで販売されていた、番手の低い40番手の生地でさえ生地値で1mあたり60,000円以上。ジャケットを「本物」の「アイリッシュリネン」で仕立てることは、今では夢想するしかないものですし、値段は想像するのも恐ろしい物になりそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな中で、まだ「本物」の「アイリッシュリネン」が作られていた頃のヴィンテージの発見こそが、どんなに望んでも手にすることのできない物を、手にいれられる唯一の方法に違いありません。

 

 

 

 

 

 

アイルランドで栽培し、紡績を行い、製織されたピュアなアイリッシュリネンが作られていた、1960-1970年代の生地で仕立てられたジャケット。アイルランドのリネン栽培の中心地であり、さらにツイードの産地としても有名な北アイルランドのドニゴール(Donegal)地方で、1866年に創業した「Magee」社が、英国ロンドン郊外のEpsomにある「Lester Bowden」に向けて作ったもの。

 

 

 

 

 

 

「Lester Bowden」は1898年創業の紳士服を基幹としたブランドで、現在では幅広い業容を作り上げ、特にスクールユニフォームや各種制服で幅広い支持を集めています。数年前には日本の「COMME des GARCONS」とのコラボレーションの対象に選出され、ダブルネームのシリーズが発売されました。「Magee」と「Lester Bowden」の両社のラベルと、アイルランドの国家色のグリーンで彩られた「 Pure Irish Linen」の文字が記されたラベル。

 

 

 

 

 

 

これが麻?と思ってしまうほど軽く柔らかく繊細な手触り。織り自体もリラックスした緩めのふくよかなものですが、糸も細番手のもので織られた生地は、「アイリッシュリネン」の群を抜く特性であり魅力の「柔らかさ」を実感できます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベーシックで爽やかな色合いは、60年以上前のものとは思えないほど現代的な生地に思えます。変形の繻子織りのディープオリーブと枯れ草色の混ざったベースに、淡い水色や栗皮茶、瑠璃色、甘草色などのウインドペーンチェックを乗せた重層的なシックで複雑な色合いの生地には、ツイードの産地としても有名なドニゴールの技術の影響が窺えます。

 

 

 

 

 

 

前身頃のヘムに丸みを加え、肩のフォルムを調整し、コバのステッチを全て解いて、ヘムにふくよかな柔らかさを持たせ、ラスティックコットンのライナーを全て手でまつり付けて空気を含むふくよかな表情にALTERATIONしたジャケットです。

 

 

 

 

 

 

手仕事だからこその変則仕様のベントや切羽は、手縫い皺も美しい柔らかな仕様です。袖は幅を調整するとともにに切羽を作り、着こなしの変化の楽しさが何倍にも広がる表情を加えました。

 

 

 

 

 

 

元からあったボタンホールも糸を解き、かがり直しています。適度な張りとシワ感が有り、インドで織られた素朴な糸の表情が魅力です。手でまつりつけたライナーの生地感と色のコントラストと清潔感。柔らかな縫い皺は、手仕事ゆえのふくよかさ。

 

 

 

 

 

 

ポケットの袋布は全て新たに作り直して取り替えています。Vintageにありがちなポケットの隅にこびりついた得体の知れない残り物・・流れた時間の贈り物とは呼べない物は、取り除くのが基本です。

 

 

 

 

 

 

襟は立てて止められるように。衿裏もオリジナルのフェルト生地を取り除き、アンティークのリネン生地に張り替えています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この繊細な光沢と柔らかさは、本物のアイリッシュリネンだけが持つものです。柔らかな手触りとしなやかさは、普通私達がリネンに対して持っている概念を根底から吹き飛ばすような驚きがあります。

 

 

 

 

 

 

サイズ 3 

肩幅 =45cm 

バスト=53cm(脇下)

袖丈 =66 cm 

着丈 =77cm

アイルランド/日本製

Front Fabric = Pure Irish Linen / Linen 100%

Back Fabric  = Indian Rustic Cotton Broad Cloth / Cotton 100%

Button         = Buffalo Horn Button (by Random Choice)

                      & Antique Fabric Covered Button

 

 

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1960-1970 Vintage ALTERATION True Pure Irish Linen Jacket by “Magee of Donegal Ireland” for   “Lester Bowden London”

[ALTERATION By Manure of Drawers]  ON SALE