新しいけど古いもの

新しいけど古いもの

Vintage French Chore Work “Gris de travails” Coat

Vintage  French Chore Work  “Gris de travails” Coat

 

1940-1950 Vintage ALTERATION   French Chore Work Worker “Gris de travails” Coat 

 

 

 

もともとは働く人たちにとっての上っ張りとして、 汚れの防止や機能性だけを考えて作られたはずのワークコート。しかしフランスで作られた物は、 実用一点張りで無骨な物が大半の英国やアメリカの物とは 趣の異なる素材感やシルエットと 機能性を重視しながらも、そこかしこに散りばめられた フランスの粋と機能的装飾デザインの素晴らしさから アーティストにも愛用される「Atelier Coat」という 名称を得た別格のものを確立させています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1940年代に作られたこのコートも大きなポケットや、ゆったりした分量など、作業時のオーバーコートとしての機能を果たしながらも曲線を多用したポケットの装飾的なデザインや、立体的な造形など単なる労働着を超えた意匠に満ちています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1940年代、占領とその後のフランス。戦勝国となったとはいえ、戦火に晒され、経済的に疲弊しきっていたフランスの復興を支えた労働者たちの仕事着です。着込まれて薄いグレーに進化し、経てきた時間を映す水墨画のような陰影とふくよかな皺は、決して加工では再現できない創造性を持っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

緯糸がブラックで経糸が白と黒のメランジ糸で織られ、白色と黒色が入り混じった色合いの生地からフランスで、“GRIS de Travail” (グレーの仕事着)と呼ばれるワークウエア。このコートに使われている物は、レーヨンが少し混紡されていると思われる、とろみと柔らかさのある手触りのファブリックです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直線に比べて縫製に時間と技術が必要な上に、生地の用尺も増えて非効率な角をとったりカーブを描いたりしたポケット。ポケット口の見返しにも意匠が施されていたり、もともと手の込んだ仕様の手間と時間をかけられたポケットを一度解体し、裏に生地を縫い合わせ、それをもう一度手で内縫いすることで縁を浮かせて立体的に再表現。ぷっくりとしたフォルムと、縁から覗く裏地の生成りが軽さと動きを与えます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

経てきた長い時間を取り込んだ風合いと、着込まれた涸れた色合いが深みを加え、愛用のしるしのダメージが辿ってきた時間を色濃く映し出しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

縁を浮かせて手で内縫いした丸みのある立体的なライナーサイドのポケット。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラグランスリーブと柔らかな生地。フランスの古いワークジャケットによく見られるカーブをつけたパターンのフラットな衿。裏側の縫しろの手始末でのほつれ止めなど、量産されたものにはあまり見られない、この頃のワークコートには珍しいつくりの1着です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

縫い付けられていた小さなラベルには、白地に赤い字で元の持ち主と思われる名前と、フランスのNormandie地方のOrne県のChanu村のテキスタイルと刺繍された小さなネームが添えられています。大きな縫製工場で工業的に量産されたものではなく、村の縫製所あるいは仕立屋で、持ち主の注文に応じて作られたもののように思えます。

 

 

 

 

 

 

 

 

ライナーの手縫いならではの縫い皺が、ふくよかな表情です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もともと付いていたものと取り替えたボタンは、英国の1950-1960年代のVintageのデッドストックです。通常に見られる角のボタンのほとんどは水牛の角から作られているもので、主としてアジア圏の水牛の角をアジア圏で加工したものですが、このボタンは、英国の有名紳士服ブランドの注文により特別に作られた、英国の牛(ヘレフォードやアバディーンアンガス)の角を使って英国で作られたものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4-6mmという厚み、裏側の皮付き仕上げ、ブラウン、ブラック、乳白、透け感のあるベージュと濁ったベージュなどが自然に入り混じった角の色合い、27mmという大きさ、モダンな印象をも感じさせる、間隔が広く大きな穴の4つのボタン穴、丸く切り出した形を粗く削っただけで素のままの表情を活かした風合い、どこをとっても迫力と良さしかない60年以上も前の逸品のボタンです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テーラーリングに基づくパターンで作られ、ワークという範疇には収まりきらない要素に満ち溢れた一着です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ファッションとは無縁のはずの世界である仕事着に込められた、フランスのエスプリとセンスが、多くの愛好家を生み、惹きつけ続け、お手本となり続ける、フランスというモード発祥の地が培った“ ファッションの原点 ” が生み出したワークウェアの到達点の一つです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「希少で貴重で古いもの」という点だけが魅力という事で終わらせるのでは無く、このコートの持つ輝きを、現代的な着装や感覚と融合させ「古くて新しく、新しいけど古い」ものとして昇華させた世界に1点だけの存在を楽しんでいただきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サイズ 2(M相当 )
裄丈   = 85cm ラグランスリーブ(肩幅 = 45cm 、袖丈 = 60cm相当)

バスト= 54cm (脇下)

着丈 = 91cm 

フランス/日本製
表地   = Salt and Pepper Twill / Cotton & Rayon ?

ライナー = Indian Rustic Cotton Broad Cloth / Cotton 100%

ボタン  = 1950-1960 Vintage French Cow  Horn Button

                  & Antique Fabric Covered Buttons

 

 

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1940-1950 Vintage ALTERATION   French Chore Work Worker “Gris de travails” Coat 

[ALTERATION By Manure Of Drawers] SOLD