1950-1960 Vintage ALTERATION Lot of Darned British Tailor-made Saxony Wool Pinstripe Jacket
全く同じ物がほとんど無く、あっても数がごく少数なのでまず人と被らない(=個性的?)、着込まれた事による経年変化の面白さ、今の物には無いデザインやパターンなどの新鮮さ、ヴィンテージを着る=ちょっとおしゃれ上級者?というイメージ、希少性などなどヴィンテージが選ばれる理由は様々です。
例えばこのジャケットの生地のテクスチャー。今から70年も前の紡績や製織などの生地作り、生育環境や餌が今と異なる羊毛自体の質の違い、そういった点は、今では望むべくもなく再現もできないものなのだろうと思います。
この魅力溢れる表情を目指して、多くのデザイナーが古い織機を使い、職人を探し求めて生地を織っています。でもたとえ目指すものに近い風合いの物を作れても、その生地が織りあがって服になってからVintageと呼ばれるようになるまでの、時間の積み重なりはどうしようもありません。
英国紳士のイメージが形になったような、上品なネイビーのピンストライプ。紡毛糸の適度な起毛感と柔らかな感触でありながら、しっかり目の詰まった存在感は昔のウールならではのものなのかあもしれません。
当時としては小さめのラペル、角度をつけて斜めに設えられたポケット。仕立て主の個性と主張が生かされるのは、テイラーメイドならではの味わいです。
その時代の最新や、その時代なりのスタンダードが、そのまま今にフィットする事は、ごく稀な事。ましてや基本的な骨格が私達と違う西欧人の体型であればなおさらです。この1着もこの頃のテーラージャケットのスタイルの、力強いショルダーラインを作り出すしっかりした肩パッド、かっちりよりはガッチリというのがふさわしい固い芯、ボタンで閉じられた開き見せの袖、ベンツの無いスクウェアなヘムという、いま着る服としてはどうしても少し野暮ったい物でした。
パッドを取り除き、肩幅を調整し、ヘムをラウンドさせて裾周りを軽くして、袖幅と着丈を調整して変形のサイドベンツと本切羽を作り、袖と襟に新たにボタンホールを作り、他のも一緒に手でかがり、ライニングと内ポケットを作り直し、ポケットの袋布を作り替え、・・・etc.
袖が太くて肩にはバツンとパッドがあって、着丈がだらりと長すぎて、なぜか重くくすんだ雰囲気で、裏地がシミだらけでポケットにはいつのものかわからない埃が詰まってて、ちょっと不潔で古臭くてサイズが合わなくてもそれがヴィンテージなんだしそれで良い(それが良い)と思われる人には全く余計な仕事の数々。
それともう一つ余計な仕事は、ジェントルな上質さが時によって枯れた渋さを、裏切るような全体に散らばるチクチク仕事。美味しい(良質の)ウールがご馳走の、いたずら者の宴の痕の数々。普通なら忌み嫌われるものですが、70箇所近くを丹念にダーニングで飾り、隠すべきダメージを逆手にとって、意図的には作り出せない時間の贈り物の一つとして捉えたALTERATIONのかたちです。
シャツとデニムでノーマルに、タイドアップとトラウザーでオーセンティックに、アルチザン風に黒っぽく、ヴィンテージでまとめてセピアの人に。流行やブランドや値段の多寡に惑わされない様々な価値観を持った方々の、その人自身を魅せる衣です。
サイズ 2
肩幅 =43cm
バスト=50cm(脇下)
袖丈 =60 cm
着丈 =70cm
英国/日本
表地 = Pinstripe Wool Saxony / Wool 100%
ライナー = Indian Rustic Cotton Broad Cloth
ボタン = Buffalo Horn Button (Random Choice)
& Antique Fabric Covered Button
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1950-1960 Vintage ALTERATION Lot of Darned British Tailor-made Saxony Wool Pinstripe Jacket
[ALTERATION By Manure of Drawers] SOLD