新しいけど古いもの

新しいけど古いもの

Vintage Old Scottish Harris Tweed Tailor-made Jacket

Vintage  Old Scottish Harris Tweed Tailor-made Jacket

 

1950-1960 British Vintage ALTERATION Old Scottish Harris Tweed Tailor-made Jacket

 

 

 

ドネガルやシェットランドといった様々な産地の中でも、イギリスのツイードを代表するツイード発祥の地、スコットランドで織られた生地。オールドウールらしい少し厚めのしっかりした生地の、ふくよかな表情を持った自然で素朴な風合いながらも、タイトなフィット感と現代的なバランスを持ったジャケットです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

毛足の長い羊毛を梳き集めて撚られた、しなやかでやわらかな梳毛(ウーステッド)と対極的な風合いが持ち味の、粗雑で短い羊毛繊維を主体とした紡毛(ウールン)で作られるツイード。厳しい自然に囲まれた北大西洋に臨むアウターヘブリディーズ諸島のハリス島(ルイス島)で織られるハリスツイードは、ドネガルやシェットランドといったイギリスの様々なツイード産地の中でも特別な物です。寒冷で霧の多い厳しい気候の荒涼とした風景が続く島は、農業を産業にできるだけの収穫を阻む岩と泥炭地(ピート)に覆われ、痩せた土壌でも生える草でも飼育が可能な牧羊と、周りを取り囲む海での漁業だけが主な産業でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この島で島民が身に着ける物で自給出来たのは、島の気候でも育てられた亜麻(リネン)や麻(ヘンプ)と、羊の毛を利用した織物だけでした。真夏でも最高気温が17度前後という寒冷な気候では、1年を通して羊毛で作った衣服は欠かせないもので、着るものを自給するために家々がそれぞれ羊毛から糸を紡ぎ、自分達で織物にする技術と伝統を育むことは自然な事でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

特に島の大事な産業である漁師達にとっては、厳しい海の自然条件から身を守るための仕事着が必要でした。水を弾き浸透させない為にも羊の毛の油分を脱いていない原毛を使い、暖かさを保ちつつ、織り目の隙間を埋める膨らみのある緬毛(ウール)と、張りと強さを出すための粗毛(ケンプ)を混紡した糸でガッチリと厚く、強く織られたハリス島のツイードは、島で暮らす人々の必要が生みだした島の第3の産業なのです。

 

 

 

 

 

 

野生の羊は外側を太く粗く長い「上毛(粗毛、ケンプ)」に覆われていて、その内側に産毛のような短く柔らかく細い「下毛(緬毛、ウール)」がありました。ケンプで作られた糸は質実剛健な頑丈なものではありますが、決して着心地の良いものではなく、柔らかで暖かなウールの方が身に着けるには適しているのですが、家畜化される以前はウールの部分は未発達で取れる量が少なく、利用出来たのはケンプだけでした。やがて羊が家畜化されるに伴い、ウールを発達させるように品種改良が進められた羊からはケンプは退化し、換毛もなくなり、細く柔らかいウールに全身を覆われた究極の羊「メリノ」の誕生に繋がりました。

 

 

 

 

 

 

織られた生地に残っていた原毛に含まれる油分が、時間の経過と共に抜け変化した少しパサついた触感はヴィンテージのツイードだけが持ち、時間を経なければ手に入らない物。

 

 

 

 

 

 

手紡ぎに近い方法で糸を紡ぎ、通常(150cm)より幅の狭い(90cm)の織機で織り上げた、しっかりした生地は、今では望み得ないヴィンテージツイードの本来の姿です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

英国の暗く厳しい自然に溶け込み、対峙するために生まれたものであることを示す深い色合い。枯れたグレーの複雑で様々な色が混ざり合った糸で、織り上げられたツイード。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前身頃のヘムに丸みを加え、肩のフォルムを調整し、コバのステッチを全て解いて、ヘムにふくよかな柔らかさを持たせ、ラスティックコットンのライナーを全て手でまつり付けて、空気を含むふくよかな表情にALTERATIONしたジャケットです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

手仕事だからこその変則仕様のベントや切羽は、手縫い皺も美しい柔らかな仕様です。袖は幅を調整するとともにに切羽を作り、着こなしの変化の楽しさが何倍にも広がる表情を加えました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

元からあったボタンホールも糸を解き、全てかがり直し。キュプラのライニングと取り替えた、ラスティックなコットンブロードは、適度な張りとシワ感が有り、インドで織られた素朴な糸の表情が魅力です。手でまつりつけたライナーの生地感と色のコントラストと清潔感。柔らかな縫い皺は、手仕事ゆえのふくよかさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生地の端切れをハンドパッチして作り直したポケット。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

裏地を縫い付けてから洗って縮ませる事で生まれる計算外の「しわ」と「たるみ」と「つり」が作り出す崩したフォルム。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このような貴重なヴィンテージに出会い、サイズが合っても、そのままでは大きな肩パッドがついていたり、芯がカッチリしすぎていたり、袖が太すぎたり着丈が長すぎたりと、今に合う気分は難しいもの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現代では再現不可能なものを、ただ「希少で貴重で古いもの」という魅力以外に、古いけれども古びない1着へ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サイズ 2(custom made size)

肩幅 =43cm 

バスト=52cm(脇下)

袖丈 =58 cm 

着丈 =64cm

英国/日本製

表地   = Old Scottish Harris Tweed / Wool100%

ライニング= Indian Rustic Cotton Broad / Cotton100%

ボタン  = Buffalo Horn Button(ランダムチョイス)

       & Antique Fabric Covered Button

 

 

 

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1950-1960 British Vintage ALTERATION Old Scottish Harris Tweed Tailor-made Jacket

[ALTERATION By Manure of Drawers]  SOLD