新しいけど古いもの

新しいけど古いもの

1950-1960 Vintage Salt&Pepper French Linen Twill “Gris de Travails” Coat

1950-1960 Vintage Salt&Pepper French Linen Twill “Gris de Travails” Coat

1950-1960 Vintage Salt&Pepper French Linen Twill made Chore Work Worker “Gris de Travails” Coat by “Linvosages-Vichy”

 

今なお世界のリネン原料のフラックス(亜麻)生産の70%を生み出し続けるフランスは、文字通りのリネン大国です。温帯から熱帯の気候を必要とするため、綿の栽培が難しいフランスの気候での栽培に適したリネンは衣類のみならずシーツなどの寝具や寝間着などのホームリネンから、テーブルクロスやナプキンなどのテーブルリネンにも使われフランス人にとっては綿以上に生活に密着した最も身近な繊維です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

近年では中国の紡績技術の発展により、リネンを糸にする紡績工程はほとんどが中国の場合が多くなりました。リネン(亜麻)の場合、コットンと異なり、〇〇リネンと表記される場合の〇〇は原料の亜麻の産出地以外に、それを糸にした場所や、生地にした場所の場合が許されます。もう亜麻の栽培も糸の紡績も行っていないアイルランドで、ベルギー産原料を中国で糸にして織ったただけの生地が「アイリッシュリネン」を名乗ったり、同じものがイタリアで織られれば「イタリアンリネン」を名乗れます。しかしこのコートが作られた1950年代はフランス国内で栽培、紡績、製織された真正のフレンチリネンと呼べる生地が作られていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フランス人にとって身近な素材のリネンですが、Biaudeと呼ばれる馬商や羊飼いが着ていたリネンのインディゴ染めのオーバースモック以外には、主素材がリネンという仕事着はあまり無く、リネンの撚り杢メランジのソルト&ペッパー生地が使われたこのワークコートは当時としても希少な物でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フランス北部からベルギーにかけて広がるリネン栽培の中心地に近く、古くから繊維産業が盛んだったヴォージュ県で1923年に創業した“Linvosages-Vichy”は、今もホームリネンとテーブルリネンの老舗として定評を持つ会社です。このコートは“Linvosages-Vichy”がまだ幅広くリネン製品に携わっていた頃に作られたワークコートです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フランスのワークウェアでリネン生地のものとして見かけることの多い“Au-Molinel”のブラックシャンブレー。経糸にチャコールグレーとブラックのメランジ糸、緯糸にオフホワイトを使った1/1の平織の生地が代表格。このコートの生地は縦糸がチャコールグレーとブラックとオフホワイトのメランジ糸、緯糸がオフホワイトの綾織りのツイルで、より深い色合いと生地の厚みを作り出しています。

白色と黒色が入り混じった色合いの生地からフランスで、“GRIS de Travail” (グレーの仕事着)と呼ばれるワークウエア。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ワークコートは働く人たちにとっての上っ張りとして、 汚れの防止や機能性の求めに応じて作られました。 その証拠に米国や英国のものは、頑丈な素材を使い2重3重のステッチが入った直線的なディティールで、縫製効率や生地要尺の節減、意匠よりも機能優先の基本にしたがった頑丈で無骨な物が殆どです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかしフランスで作られた物は、機能性を重視しながらも、そこかしこに繊細な数々のディティールを散りばめ、機能的装飾デザインの素晴らしさから アーティストにも愛用される「Atelier Coat」という 名称を得た別格のものを確立させています。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直線に比べて縫製に時間と技術が必要な上に、生地の用尺も増えて非効率な角をとったりカーブを描いたりしたポケット。ポケット口の見返しにも意匠が施されていたり、もともと手の込んだ仕様の手間と時間をかけられたポケットを一度解体し、ダメージを古いリネン生地などで補修した後に、裏に生地を縫い合わせ、それをもう一度手で内縫いすることで縁を浮かせて立体的に再表現。ぷっくりとしたフォルムと、縁から覗く裏地の生成りが軽さと動きを与えます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

経てきた長い時間を取り込んだ風合いと、着込まれた涸れた色合いが深みを加え、愛用のしるしのダメージが辿ってきた時間を色濃く映し出しています。前身頃の大きなダメージにはインディゴ染めの古いリネンをあてました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フランスの古いワークジャケットなどにもよく見られるカーブをつけたパターンのフラットな衿。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

インディアインク染のリネンで作り変えた裏襟。ステッチと身頃へ止め付けるハンドステッチのグレーとのコントラスト。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボタンは英国の1950-1960年代のVintageのデッドストックです。通常に見られる角のボタンのほとんどは水牛の角から作られているもので、主としてアジア圏の水牛の角をアジア圏で加工したものです。このボタンは、英国の有名紳士服ブランドの注文により特別に作られた、英国の牛(ヘレフォードやアバディーンアンガス)の角を使って英国で作られたものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4-6mmという厚み、裏側の皮付き仕上げ、ブラウン、ブラック、乳白、透け感のあるベージュと濁ったベージュなどが自然に入り混じった角の色合い、27mmという大きさ、モダンな印象をも感じさせる、間隔が広く大きな穴の4つのボタン穴、丸く切り出した形を粗く削っただけで素のままの表情を活かした風合い、どこを取っても迫力と良さしかない60年以上も前の逸品のボタンです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボタンの間隔を狭め、数は倍に増やしています。ボタンホールはリネンコードの手かがりです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

縁を浮かせて手で内縫いした丸みのある立体的なライナーサイドのポケット。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「汚れが目立たない」という理由だけで採用されたのだとは信じられないほど完成された色合いと風合い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自然な光沢と洗いざらしのふくよかな皺が渾然となった深い風合いはリネンならではのもの。着込んでいくことで進化して、経た時間を映す水墨画のような陰影をますます深く描く姿となる日が楽しみな創造性を秘めています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

腕の稼働の必要性に合わせて幅を広げつつ曲線を描きだす美しい袖の作り。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

手の温もりではなくストイックさを伝える不揃いなステッチ、縫い皺の表情や生地のコントラストが乾いた奥行きを作りだします。

 

 

 

 

 

 

 

 

背中へアクセントとして入れたインディゴ染めのコード糸のステッチワーク。一針一針丹念に刺して十字のモチーフを描きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ファッションとは無縁のはずの世界である仕事着に込められた、フランスのエスプリとセンスが、多くの愛好家を生み、惹きつけ続け、お手本となり続ける、フランスというモード発祥の地が培った“ ファッションの原点 ” が生み出したワークウェアの到達点の一つです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サイズ 2(46-48相当 )

肩幅 =45cm 

バスト=54cm(脇下)

袖丈 =62 cm 

着丈 =101cm

フランス/日本製

フロントファブリック = Pure French Linen Grayish MelangeTwill / Linen100%   

バックファブリック  = Indian Rustic Cotton Broad Cloth / Cotton 100%

ボタン        = 1950-1960 Vintage British Cow  Horn Button

      & Antique Fabric Covered Button

 

 

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1950-1960 Vintage Salt&Pepper French Linen Twill made Chore Work Worker “Gris de Travails” Coat by “Linvosages-Vichy”

[ALTERATION By Manure Of Drawers] SOLD