新しいけど古いもの

新しいけど古いもの

Pure French Linen Made Old Hunting Jacket

Pure French Linen Made Old  Hunting Jacket

1940-1950 Vintage Pure French Linen Made Old Tailor-made Hunting Jacket

 

 

フランスではレジャーやスポーツとしてのハンティングは、サッカーに次ぐほどの人気を持つ競技だと言われています。狩猟免許を持つ人数が120万人以上(ほとんど男性)というのは、狩猟免許取得資格のある、16歳以上のフランス男性の約5%に相当し、サッカー愛好者の220万人に次ぐ人数で、テニス愛好者の110万人よりも多いのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かつてはハンティングは、貴族などの特権階級と裕福な層の為の娯楽であり、生活の糧を得るための仕事として猟をする猟師以外の普通の人々にとっては、贅沢な遊びでした。しかし時代の流れとともに近代になってからは、徐々に幅広く楽しまれるようになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

80年ほど前のフランスのハンティングジャケットです。まだハンティングが高級な趣味だった時代に、工場での大量生産ではなく、テーラーで注文仕立てで作られた物。高機能と高性能を追い求め、化学繊維とファスナーとvelcroで構成された現代のハンティングウェアが捨て去ったものが、たくさん残っていた頃のジャケットです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

狩りの獲物を入れるゲームポケットは作られていないジャケット。それの意味するものは、元のオーナーが獲物を自分で運ぶ必要のない人(使用人や部下に運ばせることができる人)か、ゲームポケットに入る小型の野ウサギや野禽類の狩りをせず、鹿や猪といった大型の四つ足動物だけを獲物として狩りをする人だったのでは?と言う事です。大型の四つ足動物の狩りは、野ウサギなどよりも狩りとしてゲーム性が高く、長らく貴族階級にしか許されない狩りでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このジャケットが、ある程度の社会的に高い地位にあった人の物だった事は、ゲームポケットが無いことの他にも、工場で作られたものではなく、テーラーでの仕立て仕事による物だという点に見て取れます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジビエの季節とはまた違った、いわばハンティングのオフシーズンとも言える春から秋の季節に向けて仕立てられたと思われるリネン生地のジャケット。まだ素朴さが残る手動織機の物と思われる生地は、リネンの軽さと張りを兼ね備えた力強さも持っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

よく見られるグレーっぽい生成りではなく、濃淡入り混じったベージュの奥深い色合いのecru。陽に晒されて変化した、時間と偶然が作り上げた美しいの色合い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

元からあったボタンホールの糸を解いて、リネンコードでかがり直すとともに、ボタンホールを新たに作り2倍の数にして、ズラリと並ぶボタンがクラシックでありながらモダンで迫力のある表情を作り出します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Vintageボタンの中でも1番人気が高く、1つがビッグマック2個分ぐらいが相場のフランスのハンティングジャケットに使われていたボタン。あえて様々な素材と、いろんな動物のモチーフをランダムに選んで縫い付けています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し塗装が剥がれたり、色のくすみがあったりするボタンには、このジャケットに刻まれた80年近い時間の痕跡が刻み込まれています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラウンドしたフラットなパターンで、少し大きめの襟の表情は、フランスのヴィンテージならではの独特の雰囲気が漂います。一旦解体してダメージを補修するとともに、細かなステッチを入れたアンティークリネンの裏襟に変更しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フランスの古い仕立てのジャケットによく用いられる、背中側に流れる肩線の仕立て。肩の部分がバイアス生地使いのようになり、肩への沿いが良く、動きやすくなるとともに、柔らかな印象の肩になります。前身頃も着た時に立体的な膨らみをうむ、ゆるい曲線を描くヘムになっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダメージに上から生地をのせてpatchするのではなく、象嵌細工のように生地をくり抜きながらモザイク状に生地をpatchしていくフランス独特のpatch work=travail de patchで描き出した象嵌模様。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

腕の形に沿って曲線を描く袖。フランスならではのテーラードの基本に則った立体的なパターンで仕立てられたジャケットは、ハンティングの為につくられた機能性だけではなく、フランスのエスプリ精神と美しさと力強さに溢れています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

擦り切れていた袖口には、複数の種類の生地を使ったpatchと丹念なdarningによる補修を行いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

古い裏地を外し、内側に溜まった埃を取り除き、手でまつりつけたライナーの生地と色のコントラストや、リネンコードで留め付けた縫い皺の作るふくよかな味わいが、古着にまとわりつく不潔感を消し去り、さらに古着につきまとう重い印象を払拭し、現代的な印象へと変化させる要素です。ラスティックなコットンブロードは、適度な張りとシワ感が有り、インドで織られた素朴な糸の表情が魅力です

 

 

 

 

 

 

 

 

裏をつけて2重にしたうえで、内側を手で掬い縫いして身頃に縫い付ける事で、ふくよかな質感のあるフォルムにしたポケット。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

背中にアクセントとして入れたステッチワーク。vintageのリネンコードを丹念に刺して十字のモチーフを描きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

liningの取り付けと裾まわりの手の仕事。生地を丹念に縫い止めたステッチの手仕事ゆえの自然な乱れは豊かな趣を与える時間の結晶です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベーシックでありながらどこかモダンな佇まい。そんな、古いだけ、新しいだけでは、出来ないことができる服。服に骨董的な価値だけを求めたり、自分を高く見せる値札の役目を求めない人達の為の、ただのビンテージをやめた服。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サイズ 2

肩幅  = 44 cm

袖丈  = 61 cm

バスト=56cm(脇下)   

着丈 =72cm

フランス/日本製

Outer Fabric = Pure French Linen  / Linen100%

Lining Fabric = Indian Rustic Cotton Broad Cloth / Cotton100%

Button         = Vintage Animal Relief Button (Random Choice)

                     & Antique Fabric Covered Button

 

 

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1940-1950 Vintage Pure French Linen Made Old Tailor-made Hunting Jacket

[ALTERATION By Manure of Drawers]  SOLD