1880-1890 Antique ALTERATION Silk Velvet Gilet
今から120年以上前にフランスで仕立てられたシルクベルベットの
ジレ(ベスト)を現代に融合させた1着です。
小ぶりなショールカラーがデザインされたクラシックなフォルムと
繊細な生地の光沢が溶け合う、ほとんどの工程が手縫いで仕上げられた
得難い一着です。
ブラウンのシルクのベースにボルドーとシルバーの花びらが浮かぶ、
ジャカード織りの生地は、シルクならではの柔らかな手触りと
光沢に包まれていて、その風合いは100年以上経っても
全然衰えてはいません。
脇を直線に切り取ったカッティングは、
狭い幅でしか織れなかった初期のジャカード織機の生地を幅いっぱいに
できるだけ無駄なく有効に使うために考え出されたもの。
脇や肩の分量が足りない部分に継がれた生地が作る
三角形のモダンなコントラストがユニークです。
シルクが高級で高価なものだということは今でも変わりませんが
このジレが仕立てられた時代では、その価値はさらに高いものでした。
19世紀初頭には世界一と言われていたリヨンの養蚕業と絹織物は、
一部の貴族や成功者にしか身につけられない物でした。
綿で作られるベロアや別珍では生み出せない、
シルクならでは上質なテクスチャーは
時が経っても少しも色褪せることのない、希少で貴重な
19世紀からの贈り物です。
6つのボタンのうち、上3つには七宝が組み込まれ、
下3つにも繊細な柄が刻まれています。
紋章のような模様は、このジレを仕立てた人の印なのかもしれません。
背身頃と前身頃の肩や脇の縫い合わせなど、
19世紀の物にふさわしく、殆どを手縫いで仕上げています。
端々の縁取りの傷んだ箇所に、麻やウールを丹念に手で
巻きつけたトリミングが、目にも楽しいアクセントです。
ヴィンテージが長い時間を経てきた事で得た変化には、
意図して人工的には作り出す事の叶わない魅力が詰まっています。
でもその変化には、古さが連想させる暗く重い印象を強めたり、
生地の汚れや退色、擦り切れから不潔な印象が生まれる事も多く、
特に肌に近い部分の裏地の染みや綻びは、抵抗を感じさせる事も
多いのではないかと考えています。
そうした要素を取り除き、滲み出す品格と存在感を持つアイテムと
その成り立ちを尊重した上で、
作り直す(ReMake)のでは無く、作り変える(ReBuild)のでも無い
ALTERATION(改変、改新)というアプローチによって
「古くて新しく、新しいけど古い」ものとして昇華させた一着です。
気付く目と、わかる耳を持った人だけの、
流行り廃りやブランド、値段の多寡より大事なものを知る人へ。
1880-1890 Antique ALTERATION Silk Velvet Gilet
サイズ 1(このベストのサイズ感は小さめのMぐらいだと思います)
バスト=48cm(脇下)
肩幅 =39 cm
前丈 =64cm
後丈 =64cm
France/日本
前身頃 ベルベットジャカード シルク 100%
裏地と後身頃 ラスティックコットン 綿100%
ボタン アンティークボタン&
アンティークファブリックの包みボタン
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1880-1890 Antique ALTERATION Silk Velvet Gilet
[ALTERATION By Manure of Drawers] SOLD
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