新しいけど古いもの

新しいけど古いもの

1920-1930 Vintage French Corduroy Hunting Work Chore Jacket

1920-1930  Vintage French Corduroy Hunting Work Chore Jacket

 

 

 

1920-1930 Vintage ALTERATION French Corduroy Hunting Work Chore Jacket

 

 

 

 

 

 

9月の下旬頃に狩猟が解禁になり、秋が深まり出すと

市場の店先にジビエが並び始める食の秋が本格的に始まります。

ヨーロッパの中でいちばんの狩猟国であり、

ジビエを楽しむ文化も根底に持つフランスでは、プロの猟師だけではなく、

秋の狩猟解禁を多くの人々が待ち望んでいます。

 

 

 

 

 

 

フランスでレジャーやスポーツとしてのハンティングは

サッカーに次ぐほどの人気を持つ競技だと言われていて、

狩猟免許を持つ人数が120万人以上(ほとんど男性)というのは、

狩猟免許取得資格のある、16歳以上のフランス男性の約5%に相当し、

サッカー愛好者の220万人に次ぐ人数で、

テニス愛好者の110万人よりも多いぐらいです。

 

 

 

 

 

 

生活の糧を得るための仕事として猟をする猟師以外にとってのハンティングは、

貴族などの特権階級と裕福な層の楽しみであり、贅沢な遊びでしたが

その後徐々に幅広く楽しまれるようになりました。

このハンティングジャケットは、その中でも比較的豊かな層が

自身の体に合わせて仕立てさせた物のようです。

 

 

 

 

 

 

この頃から使われ始めた動物のモチーフが浮き彫りで象られた

金属のボタンが、このジャケットが趣味やレジャーの為のものなのだと

いう事を表しています。

 

 

 

 

 

 

アトリエコートやワークジャケットにも、実用性や機能性を満たす為だけなら、

必要のない装飾的な要素を忘れないモード発祥の国フランスであっても、

金型をわざわざ作ってボタンに動物のモチーフを刻む事は

趣味性が高く、またボタンも高価になりすぎてしまうと思われるからです。

このジャケットのボタンには、鹿をモチーフにしたレリーフが刻まれています。

少し塗装が剥がれたり、色のくすみがあったりするボタンには、このジャケットに刻まれた100年近い時間の痕跡が刻み込まれています。

 

 

 

 

 

 

このジャケットには狩りの獲物を入れるゲームポケットは作られていません。

ゲームポケットが無い理由としては、元のオーナーがハンティングに良く同行はするものの

自分では狩りをしない人が仕立てたのものだった場合と、

 

 

 

 

 

もう一つ考えられるのは、持ち主がゲームポケットに入る

小型の野ウサギや野禽類の狩りをせず、鹿や猪といった大型の四つ足動物だけを

獲物として狩りをする人だった場合です。

 

 

 

 

 

 

この大型の四つ足動物の狩りは、野ウサギなどよりも狩りとしてゲーム性が高く

長らく貴族階級にしか許されない狩りでしたから、

このジャケットのオーナーは高位にあった人なのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

生地は秋から冬にかけての狩猟シーズンにふさわしいコーデュロイです。

太畝のコーデュロイは、驚くほどしっかりと頑丈に打ち込まれ織り上げられ、

100年近く経ったものとは思えない状態です。

 

 

 

 

 

 

趣味性の高い実用着として作られたものですが、ものすごくしっかりと

丁寧に仕立てられていて、身頃にはしっかりとした上質な麻の芯地が使われ

手縫が随所に見られます。

 

 

 

 

 

 

ラウンドしたパターンの襟周りの表情は、フランスのヴィンテージならではの

独特の雰囲気が漂います。

 

 

 

 

 

 

フランスならではのテーラードの基本に則った立体的なパターンで

仕立てられたジャケットは、ハンティングの為につくられた

機能性だけではなく、フランスのエスプリ精神と美しさと力強さに溢れています。

 

 

 

 

 

 

 

写真ではわかりにくいのでが、前身頃のヘムのラインは真っ直ぐではなく、

緩く湾曲させたられていて、ボタンをかけると自然に胸のあたりが

体に沿った膨らんだ形になる立体的な造りは、注文仕立てならではの

職人仕事です。

 

 

 

 

 

 

オリジナルのソルトアンドペッパーのライニングを未晒しのベンタイルに

変更し、ヴィンテージの重いイメージを中和して、清潔でモダンな印象と

着込まれた100年の風合いを両立させたジャケットになっています。

 

 

 

 

 

 

英国が誇る防水防風素材のベンタイルは、

英国空軍のパイロットが撃墜などで冷たい海に投げ出された時にも、

水の浸入を防ぐとともに内部の空気を逃さず浮力を確保して、

救助を待てるようにと考えられた生地という事は、よく知られています。

 

 

 

 

 

 

長繊維綿の双糸を経緯ともに超高密度に織り上げて、外からの水は遮断して、

内部の汗や水蒸気は外に出す防水性、透湿性、通気性の三拍子に加えて、

独特のハリ感とフラットな生地の表面感といった、生地自体のテクスチャーの良さ

という四拍子を備えた独自の位置付けを確立しています。

 

 

 

 

 

 

フランスのヴィンテージウェアとして秋冬シーズン代表格での人気の高い

ハンティングジャケット。年代とコンディションのバランスの良いものは

年々希少になり、どんどん高額になり続けています。

 

 

 

 

 

 

ベンタイルライナーの取り付けと裾まわりの手の仕事。

硬い生地を一針一針、丹念に縫い止めたステッチの手仕事ゆえの自然な乱れは

豊かな趣を与える時間の結晶です。

 

 

 

 

 

 

ベーシックでありながらどこかモダンな佇まい。

そんな、古いだけ、新しいだけでは、出来ないことができる服。

服に骨董的な価値だけや、自分を高く見せる値札の役目を求めない人達の為の

ただのビンテージをやめた服。

 

 

 

 

 

 

サイズ 2(44から小さめの46相当)

肩幅   =43 cm

ゆき丈=59 cm

バスト=51cm(脇下)   

着丈 =66cm

フランス/日本製

表地   Heavy Weight Corduroy                 コットン100%

ライナー ベンタイルコットン          コットン100% 

 

 

 

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1920-1930 Vintage ALTERATION French Corduroy Hunting Work Chore Jacket

[ALTERATION By Manure of Drawers]  SOLD