1940-1950 Vintage French Chore Worker Wool Flannel Sports Jacket
フランネルは平織りあるいは綾織の生地の表面を起毛させたものの総称なのですが、フラノと略されればウールの生地を、ネルと略せばコットンの生地を思い浮かべる方が多いのではないかと思います。
16世紀頃ぐらいから英国のウェールズで作り始められたと言われるこの生地も、もちろん最初はウールで作られたものでした。現代につながる織物の多くを生み出した英国やフランスなどでは、身近で産出される繊維は羊毛と亜麻(リネン)と麻(ヘンプ)だけで、寒冷な気候では栽培できず、輸入に頼る綿素材が、いろんなものに使えるほど普及されるのには、17世紀以降の英国による東インド会社でのインド綿貿易の成功を待たなければなりませんでした。
平織、綾織、綿、ウール、化繊混紡、無地、チェック、ストライプ、片面起毛、両面起毛などなど、様々な生地がフランネルとして産出され愛用されています。
綿をベースとしたネルが農民、屈強な男性などブルーカラーの労働者の象徴であり、グランジやラップ、スケーターなどパンクや反抗的なファッションの表現手段として位置付けられる一方で、ウールをベースとしたフラノはアイビーリーグ大学の制服のブレザーや、サビルロウで仕立てられるスーツの生地など、上流階級の重厚さや上品さを象徴する代表になっているとう言う対比は、とても面白い落差ではないでしょうか。
第二次世界大戦の最中、あるいは終戦間もなくの余韻が残るフランスで仕立てられたフラノのジャケットです。箱ポケットにパッチ&フラップポケットのゴージの高い3つボタンのジャケットは当時の既製品ではありそうもないスタイルなので、顧客の注文で仕立てられたのだと考えられます。
上流の生活と若さを想起させるネイビーのフラノのジャケットのイメージとは対象的な袖や上襟、裾、フロントヘムの擦り切れ、破れ。灼けた痕。
刻みつけられた80年の時間の流れに、激動の時代の痕跡が残っています。
今のボディラインに寄り添ってくれるバランスはなかなかないものだと思います。
動きやすさに配慮しながらも滑らかでスリムなアームは、今こそ輝くモダニズムを発揮してくれます。
コバのステッチを解く事で、端々衿や裾に空気を含んだ豊かな表情が生まれます。
裏地と表地の縮率差が生み出すしわ、たるみ、つりが作る計算された計算外の面白さが生きるシルエット。
フラップ裏をラスティックコットンにとりかえて、コントラストと動きと清潔感のある豊かな表情。
パッチポケットもフォルムを変更し、裏地を付けたふくよかな柔らかさのある形に。
閉じられていた袖口は、変形の本切羽に作り変え。
開けても折り返しても、現代的なニュアンスを醸し、着こなす楽しみを広げるポイントになりました。
手仕事だからこその変則仕様のベントや切羽、手縫い皺も美しい柔らかな仕様です。
キュプラのライニングと取り替えた、ラスティックなコットンブロードは、適度な張りとシワ感が有り、インドで織られた素朴な糸の表情が魅力です。
流行やブランドや値段の多寡に惑わされない価値観を持った方々のその人自身を魅せる衣です。
サイズ 1
肩幅 =39cm
バスト=49cm(脇下)
袖丈 =59 cm
着丈 =69cm
フランス/日本
表地 ウールフランネル ウール100%
ライナー ラスティックコットン コットン100%
ボタン バッファローホーンボタン(ランダムチョイス)
アンティークファブリックカバーボタン
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1940-1950 Vintage French Chore Worker Wool Flannel Sports Jacket
[ALTERATION By Manure of Drawers] SOLD