1930-1940 Vintage Alteration King’s College School
Old Boat Club Boating Blazer
英国で生まれ、今でも綿々と受け継がれているブレザージャケット。
語源と言われるものが、1830年頃のケンブリッジ大学のボート部のユニフォームや
英国軍艦ブレザー号のユニフォームという事が示す通り
自分の属する学校やクラブを示すために、それぞれの紋章を
象ったエンブレムを飾ったり、スクールカラーを取り入れたりして
仲間の存在感と結束力を高める制服として用いられてきました。
中でもボートやポロ、クリケットなど、英国の伝統を色濃く映すスポーツでは
それぞれの競技における機能的なユニフォームの発達と同じように
競技者自身や観戦者が応援の意味を込めて着用するスペクテイターウェアとして
それぞれの学校が定めたクラブストライプを使ったジャケットが作られ
今でもこうした競技の風景に伝統の色を加えています。
クラブストライプで仕立てられたブレザーは、パブリックスクールや大学の
アスレチッククラブの選手や応援団が、スカーフに採用したストライプに
端を発するもので、ボート部やクリケット部、あるいは学校の親睦会など、
様々なクラブのものがあります。
厳密に言えばそれぞれ呼称が違うはずですが、オクスフォードとケンブリッジの
対戦で有名なテムズ川で開催されるボート競技、ヘンリー・ロイヤル・レガッタ
(Henley Royal Regatta)でのイメージが定着してポピュラーになった事から、
ボーティング(Boating)・ブレザーと総称される事が殆どとなっています。
King’s College Schoolはロンドン大学を構成するカレッジのひとつで
1829年に設立されたイングランドでは4番目に古い大学です。
男性・イギリス国教徒・貴族出身者のみに入学を許すなど、
差別的な入学条件を課していたオクスフォードやケンブリッジに対して
「万人に開かれた大学」として設立された名門校で、
世界大学ランキングでは2007年以降、世界25位以内の位置付けで
12人のノーベル賞受賞者を輩出し、ジョン・キーツやアーサー・C・クラーク、
フローレンス・ナイチンゲールなどなど、数多の人物が卒業生に名を連ねています。
このブレザーの最大の魅力はやはり、学校の紋章(クレスト)の色を表す
コントラストのはっきりしたクラブストライプに詰まっています。
Catalina BlueのベースにGold Tips YellowとKings Redのストライプを
組み合わせたストライプは伝統ある名門校の誇りを象徴し、
70年以上の時を経た今でも古びれず、堂々とした美しさを見せてくれるブレザーです。
このブレザーのもう一つの見所は英国伝統の本領を発揮した
着た時にストライプが首に向かって収束していくように見える
生地使いとカッティングの見事さです。
アームホールを調整するカッティングで出来るドレープが生む、
ストライプの曲がり具合が立体感を強調し、独特の雰囲気を作り上げています。
後ろは逆に、背中心にはぎの無い1枚仕立ての背身頃で、
ストライプを途切れさせずに際立たせる配慮がなされている上に、
フロントのストライプが背中のストライプと繋がるのはもちろんのこと、
襟のストライプも背中のストライプとちゃんと繋がるように
絶妙な調整が行われているのも見事です。
ボタンの無い筒そでの袖口を、本開きに作り変えた手仕事ならではの変形の本切羽です。
元々袖丈の調整用の遊びや生地余りが全く無い仕立てなので、額縁など作り得ず、
縫い代も十分取れないところを、ギリギリをやりくりしながらの作りです。
でも、こうすることで得られる袖口の表情の豊かさは、着こなす上での楽しさを倍増させて
くれるはず。
デフォルトの少し長めの着丈を調整し、サイドベンツを作った事で、
幅広い着こなしの似合う軽快で現代的なフォルムのジャケットに。
フラワーホールを広げて、襟を立てて止められるように。
本切羽に手かがりで作ったボタンホールを、緑青を吹いたり錆に覆われたアンティークのメタルボタンが飾ります。
ヘムラインをラウンドしたシェイプに変更し、ポケットにも裏地とフラップをつけて、丸みと膨らみを加えた形に。
当時、このような名門校に通われた方々は、当然裕福な方が多く、
さらにその中でも選ばれた少数の人々しか手にいれる(仕立てる)事が
許されないはずのこういったクラブブレザーは、誇りと思い出の象徴です。
同窓会や母校の集まりには勇んで着込んで行かなければいけない物ですし、
オーナーの存命中は現役の勝負服なのです。
死後も思い出とともに箪笥やクローゼット、あるいは地下室で保管され、
捨てられたり、ましてや古着商に売り渡す事など考えられない
というものであろうだけに、こういう形で私達が扱えた事自体、
かなりの僥倖であり、この1着はとても珍しく貴重な物だ思います。
ブレザーの中のブレザーと呼べる貴重な1着を、
ただ「希少で貴重で古いもの」という点だけが魅力の1着という事で
終わらせるのでは無く、ヴィンテージの持つ輝きを、
現代的な着装や感覚と融合させて
「古くて新しく、新しいけど古い」ものとして昇華させた
世界に1点しかない1着の輝きを楽しんでいただければと思います。
サイズ 2(SからM相当 )
肩幅 =39cm
バスト=49cm(脇下)
袖丈 =60 cm
着丈 =71cm
イギリス/日本製
表地 サテンストライプ ウール100%
ライナー ラスティックコットン コットン100%
ボタン ヴィンテージ及びアンティークのメタルボタン(ランダムチョイス)
アンティークファブリックの包みボタン
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1930-1940 Vintage Alteration King’s College School
Old Boat Club Boating Blazer
[ALTERATION By Manure of Drawers] SOLD